ソフトバンクモバイルは4月24日、次世代の光通信技術である直交振幅変調方式(16QAM: 16 Quadrature Amplitude Modulation)を用いた2テラビット毎秒(Tbps)スーパーチャネルの伝送実験を、同社が保有する陸上ケーブルおよび海底ケーブルを使用して実施し、成功したと発表した。2Tbpsスーパーチャネルの安定した伝送を実際に敷設した光ケーブルで確認したのは、同社によると日本で初めてとのこと。
今回の実験では、同社が保有する商用陸上ケーブルと海底ケーブルを使用して、2つの伝送実験を実施。
陸上の光ケーブルを用いた実験では、神奈川県横浜市と三重県四日市市間に往復761kmのシングルモード光ファイバー(ITU-T G.652準拠)で構成する伝送路を構築し、途中10カ所の中継局において、通常の光増幅器に加えて分布ラマン増幅技術を適用することで、2Tbpsスーパーチャネルの安定した伝送を確認した。
なお実験には、商用ネットワークの将来の容量拡張性を検討するために、実際に東京-大阪間の商用100Gbps伝送サービスで使用中の中継局を利用したという。
海底の光ケーブルを用いた実験は、北海道室蘭市と青森県八戸市間に敷設している海底ケーブルを用いて実施。
この海底ケーブルは280kmと非常に長いため、海底ケーブル内で生じる損失を補償するために遠隔励起光増幅器を採用しているという。さらに分布ラマン増幅技術も併用することにより、2Tbpsスーパーチャネルが安定して伝送ができることを確認した。
同社では今回の実験成功により、1本の光ケーブルで伝送できるバックボーン・ネットワークの通信容量が従来の8.8Tbpsから20Tbps程度に拡張し、国内で最もデータ伝送需要が多いという東京-大阪間の伝送路を始め、同社が保有する光ケーブルを用いて次世代の超高速光伝送技術が適用可能であることが確認できたとしている。