我々は普段から意識していないが、バーコードの利用シーンは巷(ちまた)に溢(あふ)れかえっている。複雑な商品コードを入力せず、スキャナからバーコードで読み取るだけでデータ入力は完了。このようなメカニズムは小売販売だけでなく、在庫照合や資産管理などあらゆる面で活躍している。

主にエンタープライズ分野で活躍するバーコードだが、バーコードスキャナの販売からシステム設計・開発まで、専門家としてバーコードを使った業務の効率化を提案する日栄インテックバーコードグループでは、バーコードベースで入出庫・棚卸し・在庫照合などを行う「ざいかん2」など、いくつかの製品をリリースしてきた。幅広いラインナップの中でも、興味深いのがiPhone/iPod touchと連動し、低コストで企業の資産管理や物流・医療の出荷検品業務に役立つ「SBP Series」である。この度、App Storeにアプリが新登場した。

Bluetooth 2.1対応の超小型スキャナ「NL2002IW」と、既存のiPhone/iPod touchを接続し、バーコードスキャナで読み取ったデータをBluetooth経由でiPhone/iPod touchに送信。バーコード収集アプリである「SBP-SS」は、バーコードデータと数量データを保存する仕組みだ。会社の資産管理やレンタル品・デモマシンの貸し出し管理など、あらゆる場面において、手軽に、そして本格的なバーコードを使った業務利用が可能だ。

「SBP Series」には前述したバーコード収集アプリである「SBP-SS」の他に、バーコード照合アプリ「SBP-CK」がある。こちらも入出荷検品業務やピッキング業務、投薬チェックなど多くのビジネスシーンで活躍するだろう。なお、収集したデータはCSV形式ファイルで管理するため、そのままFTPサーバーへのアップロードや、指定したメールアドレスへの送信なども行える。対応するバーコードスキャナは「NL2002IW」だけでなく、iPod touchと一体化する「AsReader」も用意されている。

製造元の日栄インテックでは、これからバーコードシステムの導入を思案中の企業や、既存システムの更新を検討している企業を対象に、デモ機の無料貸し出しサービスを行っている。今回、「NL2002IW」のデモ機と「SBP-SS」のアプリをセットで試用する機会を得たので、簡単にその使用感をご報告しよう。

並べてみると歴然! まず驚くのがそのサイズ!

梱包(こんぽう)から「NL2002IW」を取り出すと、最初に驚くのがその小ささである。下図は第5世代iPod touch(iPhone 5Sと同等)と並べてみたものだが、横32×縦52×高17mmに約28グラムというサイズを思い描けるはずだ。

さて、「NL2002IW」をiPod touchにBluetooth接続するには、最初に接続モードを選択しなければならないという。SPP (Serial Port Profile)マスター/スレーブモードやHID(Human Interface Device Profile)モードが用意されている。これらを「NL2002IW」でバーコードを読み取り、自身の接続モードを変更するそうだ。説明書によるとiPhone/iPod touch専用のバーコードを読み取ってから、ペアリングを実行する。

これで準備完了だ。後はバーコードスキャナで貸し出しを行うシステムを想定して実際に試してみればよい。手元にある手帳の裏にバーコードが貼ってあるため、これを元に貸し出し/返却を試してみる。

iPod touchで「SBP-SS」を起動し、「貸出」ボタンをタップ。すると使用者コードや物品コード、数量と3つの入力フォームが現れた。ここでバーコードスキャナの出番である。先に用意したバーコードをスキャナで読み取れば、数値が入力フォームに即時転送する仕組みだ。返却操作や棚卸しのチェックも「返却」「棚卸」の各ボタンから操作可能。

貸し出し状態を確認するには「設定」→「データ確認」と進み、「貸出」「返却」「棚卸」のいずれかをタップする。実際に使ってみると、シンプルなことこの上ないが、煩雑な作業現場で、アプリやスキャナの操作が煩雑になってしまっては元の木阿弥(もくあみ)。「SBP-SS」は、必要最小限の構成で必要な情報だけを管理するスマートな動作を主眼に置いている。

さらに、「システム設定」からは、現場で利用する際の細かい設定が行える。「読取設定」では、データ収集画面で使用者コード入力可否や、初回/毎回入力といった設定ができるため、実際の利用シーンに即した設定を行えるのも便利だ。「バーコード設定」は使用者コードや物品コードなどに対して、バーコード種別の取捨選択が可能。扱う品目が国内であれば、EAN/JAN-13とEAN/JAN-8に限定するといった設定を行える。