新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と三協立山は1月22日、小型鍛造品向けに適したマグネシウム合金小径連続鋳造ビレットの製造技術を開発したと発表した。
マグネシウム合金は鉄やアルミニウムに比べ、極めて軽量、高い比強度、および減衰性といった優れた性能を持ち、自動車、家電、ロボットなど機械産業分野において、構造体の大幅な軽量化につながるとして期待されている。しかし、鍛造(金属を叩いて目的の形状に成形する工法)など、力を加えることによって変形させると割れが生じやすく、加工が困難なことがコスト高につながり、普及拡大を阻害していた。
また、産業機械や輸送機器向けに用いられる小型鍛造部品は、鋳造ビレット(φ155~300mm)を加工することで、小型鍛造に供給できる品質とサイズに加工した押出棒を製造し、原材料としているが、素材のコストや生産性が課題となっていた。
今回開発された技術は、鍛造に直接供給できるマグネシウム小径ビレット(φ55~100mm)の連続鋳造を可能とするもの。鋳型を断熱構造とすることで鋳型内の溶湯を極力凝固させずに鋳型下端から噴射される冷却水のみで急冷凝固させる。これにより、従来のビレット組織に比べ微細・均一な凝固組織を確保し、優れた鍛造成形が可能となる。
現在、軽量化が求められる鍛造部材分野への適用に向けた提案と用途開発が進められており、あわせて、量産化に向けた多面同時連続鋳造技術の開発に着手しているという。