国立長寿医療研究センター(長寿研)は11月11日、アルツハイマー病変の発症前検出に有用と考えられる血液バイオマーカーを発見したと発表した。
同発見は同センターと島津製作所などによる共同研究グループによるもので、11月11日に日本学士院発行の英文学術誌「Proceedings of Japan Academy, Series B (PJAB)」のオンライン版に掲載された。
現在、アルツハイマー病に特異的な脳内病変は、脳脊髄液検査やPETを用いたアミロイド・イメージングによって検出できるが、前者は侵襲性が高く、後者は大型の設備を要し検査費用も高額になるなどの課題がある。アルツハイマー病の罹患者数は増加の一途を辿っており、早期に病変を検出し、発症予防につなげる安全で簡便な手法の確立が求められている。
今回の発見は、アルツハイマー病に伴う脳内変化を、症状が出る前に、血液検査で捉えることに世界で初めて成功したもの。アルツハイマー病の根治薬や発症予防薬の開発に大きく貢献するものと期待される。
同センターは今後、さらに多くの検体を対象に、他機関とも共同研究を行い、同バイオマーカーの臨床的有用性を確認していくとしている。