大成建設は9月10日、コンクリートの厚みに頼らずに遮音性能を発揮する「振動低減中空コンクリート板」を栗本鐵工所と共同で開発したと発表した。

コンクリートは空気中を伝わる音には高い遮音性能を有するが、床衝撃などの固体伝搬音(振動音)に起因する騒音問題を発生させることがある。これまでも振動音の低減をはかるため粒状体を使用した床部材などが開発されていたが、建物の構造体となるコンクリート板による製品はなかった。

両社が開発した「振動低減中空コンクリート板」は、床コンクリート内に袋に入れた粒状体を封入することで、床から伝わる振動を制御し振動音を低減する。対象となる振動音などの周波数に応じて、粒状体の質量および袋の弾性を調整することで、効率的に振動音を低減できるほか、同程度の厚みのコンクリートスラブと比べて約15%の軽量化を実現したとのこと。

大成建設は今後、集合住宅やコンサートホールなど、振動音低減対策が必要な建物に「振動低減中空コンクリート板」の適用を提案していくとしている。

「振動低減中空コンクリート板」の図と写真