グローバルでビジネスを展開する際に欠かせないのが、地域や組織の壁を越えたタイムリーでシームレスな情報共有や情報公開だ。しかし、情報共有・公開を進めるためには情報漏えいのリスクへの配慮も必要となる。そこで情報漏えいリスクを抑えつつ情報共有・公開を効果的に行うためのヒントを示すべく、7月24日マイナビルームにて「グローバル展開を視野においた情報公開・活用のポイント」と題するセミナーが開催された。
セミナーではオーシャンブリッジ 営業部 高木庸平氏によるセッション「グローバル企業に求められる情報共有と漏えい対策とは」も行われ、情報公開と情報漏えい対策のバランスの取り方について解説するなど、"情報" の取り扱いに悩む企業担当者にとって注目の内容となった。
株式会社オーシャンブリッジ |
中国での知的財産流出により収益の20%が失われている
国内・海外ともに大きな情報漏えい事件が相次ぎ、企業にとっての情報漏えいリスクはますます高まっている。ある調査結果によると、中国での知的財産の流出によりヨーロッパ系製造業全体で潜在的な収益の20%が失われたという。また別の調査では、米国に本社がある組織において、世界での地域別の情報流出発生件数の割合は中国が8割にも達しており、中国での知的財産の流出による損失額は推定3000億ドルに及ぶという衝撃的な時事が明らかになった。しかもその多くが内部犯行によるものだという。
「情報漏えいの回数とともに、1件当りの対応コストも上昇傾向にある。とはいえ、グローバル化の波は止られないことから、今後、情報共有はますます進み、それとともに情報のコストも上がり続けるだろう。そこで注目すべきなのが、情報漏えい対策の費用対効果だ」と高木氏は話す。
米国企業の調査では、大企業が情報漏えい対策に1ドル投資することで、深刻な情報漏えいの場合は46ドル、つまり46倍の投資効果があるとしている。
「情報漏えい対策は、投資すればするほどきちんと返ってくる。保険と同じようなものだということが調査結果からわかる」(高木氏)
情報漏えいのリスクが増大している状況にあるからといって、海外進出を断念したり撤退したりすることはビジネス戦略的にもあり得ないだろう。また海外での情報漏えいを恐れて国内だけで情報共有を行うというのも現実的ではない。
「情報共有と情報漏えい対策のバランスをいかにとっていくかが大切だ」と高木氏は強調する。
グローバルな情報共有にたちはだかる6つの課題とは
情報共有を進めていくステップとしては、最初はファイルサーバーから始め、次にグループウェアでタスク管理を行い、続いて文書管理システムできちんと情報を管理、そして最後に大規模にECMを使うというのが一般的だ。そうした情報共有をグローバル規模で行うには、次のような6つの課題が立ちはだかることになり、その一般的な対処法とその問題点も次の通りとなる。
情報共有を進めていくステップ |
- 課題1 PC環境が異なるのでファイルが開けない
- 課題2 回線が細くて、データの送受信に時間がかかる
- 課題3 情報漏えいのリスクがある
- 課題4 異なるネットワーク間でアクセス権制御ができない
- 課題5 意思疎通がうまくいかない
- 課題6 指示・議論の内容を明確に残す必要がある
拠点ごとに使用するアプリが異なりファイルが送られても開けないため、ファイル作成者に連絡してPDFなどに変換するなど作成者や閲覧者に余計な作業を強いることになる。
写真入りの資料などが容量オーバーで海外の拠点に送れないためファイル分割や物理メディアにコピーしての郵送を行うなど、やはり作成者や閲覧者に余計な作業を強いることになる。
社員のメールやUSBストレージなどに社内の情報をコピーされ、競合他社に渡されてしまう恐れがあるため、細かいアクセス権の設定やメール送付先の制御、閲覧できる端末の制限など、情報共有を阻害する対策を取らねばならず業務効率の低下にもつながる。
「もともと情報共有の目的は業務を効率化することなので、これでは本末転倒と言えよう」(高木氏)
認証の基盤が異なるためアクセス権制御ができないケースが非常に多いことから、文書管理システムでの共有ではなく必要なデータはメールでやりとりすることになる。しかし、作成者や閲覧者には余計な作業が発生する。
文書や図面をベースに話しあうときにどこの箇所について指摘しているのかわからないため、文書そのものに書き込みを入れてメールで送付するようになる。だが、似たようなファイルが複数発生してしまい情報が散乱してしまう。また図面を印刷してペンで指摘箇所を書き込んだ後にスキャンして送付する対処法もあるが、わざわざ紙に印刷するのは非効率だ。
図面の変更指示を行ったのに修正されていないといった事態をさけるため、PDFで出力、印刷して紙で履歴を残す対処が取られるが、毎回の作業で行うには手間がかかってしまう。
6つの課題を解決して情報共有の理想状態を実現
これら6つの課題を受けて高木氏は、グローバル企業に求められる情報共有の理想の状態を実現するソリューションとして、高速・高精度なファイルビューア「Brava(ブラバ)」シリーズを提唱する。Bravaは、ブラウザ上で軽快に様々なフォーマットのファイルを閲覧でき、ファイルを閲覧できても持ち出しはできない状態で共有、画面上に指摘事項を書き込んで共有できるといった特長を持つ。そのため、先述の6つの課題を克服して次のような理想の状態を実現できるのである。
- アプリケーションに依存せずファイルの中身を閲覧できる
- 回線が細い環境であってもストレスなく利用できる
- ネットワークが異なってもアクセス権制御ができる
- 円滑に情報共有をしつつ情報漏えい対策ができる
- 視覚的に理解できるかたちで一元的にポイントを共有できる
- 証跡を明確に残せる
「Bravaを活用すれば、情報漏えいを防止しつつ情報共有の本来のメリットをすべて享受することができるだろう」と高木氏は言う。
続いて高木氏は、Bravaを導入して理想的な情報共有を実現している国内外の企業の事例を紹介。例えば国内某部品メーカーでは、国内向け情報共有ポータルを海外拠点へ展開する際のセキュリティ対策としてBravaを導入し、クライアント側には一切データを残さずに情報共有を行っている。当初、同社ではファイルを暗号化して情報共有することを検討していたが、暗号化してもファイルそのものは持ち出せてしまうことから、抜本的な解決策としてBravaを選択するに至ったという。
データ持出を根本的に抑止する仕組み |
オーシャンブリッジではBravaの他にも、ファイル軽量化ソリューション「NXPowerLite(NXパワーライト)」とリモートコントロールツール「ISL Online(アイエスエル・オンライン)」を提供し、企業の情報共有の課題解決をトータルにサポートしている。高木氏はそれぞれの製品の特長や導入事例について紹介した後、この先も国内企業のグローバルな情報共有に貢献し続けていくことを宣言してセッションを締めくくった。
高速・高精度ファイルビューア「Brava」
Bravaは、用途に応じていくつかのエディションを用意している。公式Webサイトでは各エディションに加え、導入事例が豊富に公開されているので、参考にしてみてはいかがだろうか。
⇒公式サイト