JR西日本はこのほど、新幹線の保守用車の運転ミスを支援する新たな装置を導入したことを発表した。

新幹線のメンテナンスには、「高速確認車」や線路の突き固めを行う「マルチプルタイタンパ」、レールの傷を探す「レール探傷車」など、さまざまは保守用車が利用されている。

新幹線の保守用車

7月16日に行われた社長会見では、新装置の開発のポイントとして、「衝突防止機能の警報機能向上」「支援装置の一元化」「無線伝送方式の採用」「制限速度超過防止」が紹介された。

具体的には、保守用車接近時に、危険度に応じた警報音、警報表示でオペレーターに注意を促し、保守用車同士が近付くごとに警報レベルが上がり、音声も単発から連続になる。「停止」の際は男性の声を使用するなど、危険度を認知しやすくなっている。

保守用車が制限速度を超過した時、自動的にブレーキがかかる仕組みになっており、これは保守用車として日本初とのことだ。

平成22年の追突事故の際に、トンネル内のばい煙により赤外線センサーが機能せず保守用車同士の距離を検知する性能が落ちることがわかったため、位置情報を把握する方法として、相互に無線伝送する方式が採用された。

警報音の仕組み

また、煩雑に配置されていた装置を一元化して、機能ごとに整理し、エラーを発生させにくい画面配置となっている。これは、安全研究所で、どうすればブレーキ操作の遅れが減るか、いくつかの画面配置を設定してブレーキ操作が遅れる回数などを調査した結果に基づくもの。

装置画面のイメージ

新装置は、今年4月に岡山地区(相生~新尾道駅間)で作業を行う保守用車約30台に先行導入しており、今後順次、山陽新幹線で使用する保守用車190台すべてに拡大していく。