中央大学は、ホウ素・ホウ素単結合を持つ化合物が、切れにくい化学結合である「三重結合」の1つである炭素・窒素三重結合を穏和な条件で切断することを発見したと発表した。

同成果は、同大大学院理工学研究科博士前期課程2年(応用化学専攻)の浅川博祈氏、同大理工学部准教授(応用化学科)の山下誠氏、香港科学技術大学のLee, Ka-Ho大学院生(化学科)、同Lin, Zhenyang教授(化学科)らによるもの。詳細は、科学誌「Nature」の姉妹誌「Nature Communications」に掲載された。

化学結合の1種である共有結合の中でも2個の電子の組が3組ある「三重結合」は、その結合の強さから、切れにくい結合に分類されている。そのため、これまでそれを切る手法としてさまざまなものが考案されて活用されてきたが、その多くが高温や強酸、ある種の金属成分を必要とする方法であった。

今回、研究グループは、炭素原子と窒素原子の間にこの強い三重結合を持つ「イソニトリル」という有機化合物に対し、ホウ素原子(B)を2個含む分子を混ぜると、高い温度・強い酸・金属成分、のいずれの条件を用いなくても、イソニトリル分子の炭素・窒素三重結合を切断する反応が起こることを発見したという。

また、こうして反応して得られた新たな分子の構造を解析したところ、B原子2個を含む分子において、2個のB原子間にある単結合が反応しやすいためであることが確認されたとする。

今回の成果について研究グループは、「人類が三重結合を切断する新しいツールを手に入れたことに他ならない」とするが、まだ直接の応用が見えているわけではないともしており、今後は、今回の現象が、どこまで一般性を持っているのか、ほかの種類の三重結合も切断できるのか、などの解明を進めていきたいとしている。

今回発見された炭素・窒素三重結合の切断反応の概要。(図中の元素記号を結ぶ直線が結合)