KDDIは6月10日、NTT東西による光アクセスの「サービス卸」の提供を行なわないように働きかける要望書を総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部長に提出した。

光アクセスの「サービス卸」とは、NTTが5月13日に発表した「光コラボレーションモデル」のことで、NTT東日本や西日本がエンドユーザーに光アクセスサービスを直接してきた従来のサービス提供の枠組みとは異なり、様々なサービスプロバイダが自社サービスに組み込んだ形で光アクセスサービスをエンドユーザーに提供する。

これまでの「B2C」のビジネスモデルから「B2B2C」モデルへと変化させることで、更なる光サービスの普及を狙ったものだが、KDDI以外にもケイ・オプティコムなど地域系ISPの222社が連名で総務省への要望書を提出している。

卸取引の禁止を要望する理由としては、NTT東西が光サービスをグループ内の事業者に卸した場合、提供条件が不透明になるため、「競争事業者との同等性が確保できなくなる」点を挙げている。

これは、4月に行なわれた「2020年代に向けた情報通信政策の在り方」に関する議論でも取り上げられたもので、NTTグループの一体運用を容認することで「グループの実質的な再統合」が図られ、競争事業者が成り立たない独占市場となってしまうとして、KDDIやソフトバンク、CATV事業者や固定通信事業者が総務省に対して呼びかけを行なっている。

特にKDDIは、この要望書でも「サービス卸が設備競争に重大な悪影響を及ぼし、巨大な特殊法人であるNTTの実質的な再統合に繋がる」と指摘。これまでの競争環境整備の結果が、「サービス卸」の容認によって無にかえることにならないよう「厳正に検証」することを要望している。また、「多様な事業者による公正な競争の促進をするため、禁止行為規制の在り方を含めた検討を十分に行ない、必要な制度的措置を講じる」ようにとも、呼びかけを行なっている。