多田佳那子「交際」(2012年)

東京都・秋葉原のアートスペース「3331 Arts Chiyoda」内のギャラリー「Bambinart Gallery」にて、若手アーティスト・多田佳那子の個展「愛の中のひとり」を開催する。会期は5月23日~6月15日(月曜日、火曜日休廊)、開場時間は12:00~19:00。入場無料。

同展は、武蔵野美術大学大学院に在籍している若手アーティスト・多田佳那子の初個展。多田は、日常の生活を営む「私」と、自らを生と死が組み込まれた個体として意識する「私」の両者を共生するふたつの「私」として自覚し、日常が遠ざけがちな生と死の文化に向き合い、どのように接していくべきなのか、絵画を制作することを通して手がかりを得ようとしている。

また、作品の制作プロセスにおいて、一度完成させた絵画にまったく別のモチーフを描き加えたり、利き手でない手で描いたり、目を閉じて描いたりといった多様なアプローチを行う。これらの方法によって、画面にアクシデントを発生させ、多田自身の意図を超えた絵画の先の絵画の再生を体験することを狙いとしている。そのほか、多田は主に人物を描くが、構図とモチーフはアングルの「泉」やマイヨールの「ヴィーナス」などの名画や、音楽雑誌の表紙、週刊誌のグラビアなどから脈絡なく引用。モチーフが持つ意味や背景、多田との関係性は重要ではなく、制作へのフックとして機能しているということだ。