ターゲティングディスプレイ広告大手のCriteoは4月3日、都内で事業戦略説明会を開いた。2014年の注力ポイントについて、モバイル分野(スマートフォン)でのターゲット広告の拡大などを挙げた。
フランスで設立されたCriteoは、2011年に日本法人を設立。広告主Webサイトでのユーザー行動をもとに、Criteoと提携するメディアサイト上やアドエクスチェンジなどで、そのユーザーひとりひとりに応じた広告を配信し、広告主Webサイトへの再誘導を行うダイナミックリターゲティング広告をビジネスとしている。日本では楽天やヤフー、リクルートなどを顧客に抱え、コムスコアの調査によると、同社のターゲット広告は日本のネットユーザの約9割へのリーチを獲得している。また、ユーザーの興味や関心にあわせて個々に異なる広告を配信する同社の仕組みは、広告主継続率も90%と高い評価を得ているという。
このような中で、同社が掲げる2014年の注力ポイントは、広告主の拡大、広告主がアプローチできる新たな層の発掘、スマートフォンなどモバイルへの対応強化の3点。
Criteoのダイナミックリターゲティング広告は、その仕組みから、ネットリテールやツアー商品を扱うトラベル事業、ホテル比較サイト、不動産サイトなどカタログ(データベース)を持つようなビジネスで活用されている。広告主の拡大では、これを自動車や金融といった商品数があまり多くない業態で利用できるように「Single Performance Banner」の販売を強化する。
また、同社によると、ターゲティング広告の多くは広告主サイトを閲覧してから11日以内に配信されたもののクリックが大多数で、それ移行は激減するという。これまでは、この11日以内にクリックしなかった層(Mid Funnel)は、「広告主サイトには訪れた」というアクションがありながらもあまり活用されていなかった。このMid Funnel層に対して、例えば通販カタログサイトであれば、"商品そのもの"を表示するのではなく、"カタログ請求"のような違ったカタチでのアプローチを提案していく。Cookieの有効期間も、これまでの30日から、400日に拡大する。
さらに同社は、モバイル分野での取り組みを強化する。すでに、Androidデバイス・iOSデバイスのブラウザ対応を開始しており、特に日本は、グローバルと比較してモバイルからの売上比率が高い市場となっている。直近では、広告主のアプリケーションでの利用行動をもとに、他のアプリの広告枠にターゲット広告を表示する"App to App"についても試験的に行っているという。この機能は今夏に日本でも提供予定。
このApp to App広告に関しては、アプリ内でもブラウザと同様に商品個別ページヘのリンクを設定できるアプリ版「ディープリンク」の普及を進めるために、業界企業と協同で仕様書を公開するなどといった取り組みも行っている。