トヨタ自動車は3月25日、廃車のワイヤーハーネスから銅資源を回収し、新品銅とほぼ同等の純度99.96%の銅素材にリサイクルすることができる技術を矢崎総業、豊田通商、ならびに豊田通商取引の中部地区解体業者8社と連携して開発したと発表した。
従来、使用済み車両からワイヤーハーネスを取り外す際には、ヒューズボックスなどの部品が付随しているため、それが不純物となるため再びワイヤーハーネスにリサイクルすることは従来の機械式選別方法では不可能であった。
トヨタらは解体業者の前処理も含めた品質条件の確立など技術開発を2010年より進めてきており、2011年に微小な不純物の混入を防ぐ機械式選別方法を開発。2013年から、トヨタの本社工場内に設置した実証ラインで再生銅の少量生産を行い、矢崎で品質を評価したのちに、ワイヤーハーネス製造ラインに投入することで、実用化を目指すといった取り組みを進めてきていた。今回の成果は、この取り組みで、銅が安定的に生産できるめどが立ったことを受けて発表されたものだという。
銅資源は、送電線などのインフラ需要を中心に世界的に需要が拡大している一方、その資源の枯渇の可能性が取り沙汰されてきており、トヨタでは、今後も技術開発とコスト低減に向けた開発を進め、2016年以降、年間1000tレベルの再生銅の生産を目指すとするほか、解体業者との連携を強化していくことで、部品メーカーと解体業者が一体となった次世代型リサイクルコンセプトの実現を進め、日本における循環型社会の構築に貢献していければ、とコメントしている。