というわけで第1部は終わり、続いては、理系女子&女性を先生とした「Rikejo相談室」である(画像17)。Rikejoは通常、サイトや雑誌などで展開されている講談社の理系女子応援サービスだ(画像18)。どの分野でもそうだが、学究の世界でも女性はつい最近まで蔑視されてきたわけであり、今でもそうした悪しき風習が完全に払拭されたわけではない。実際、大学教授の数を数えてみれば、特に理数工系の場合は、圧倒的に男性の方が多い。筆者の世代(40代)ぐらいから下になると、だいぶ理数工系の女性教授や研究者も増えてくるのだが、それでもまだまだ風当たりが強いところもあるのも事実。だからこそ、「女性だから」というだけで自分の好きな世界を諦めなければいけないという事態をなくそう、ということでがんばっているのがRikejoというわけである。女子だからといって遠慮せず、男子色の強い理数工ワールドで活躍しようというわけだ。

今回は科学の甲子園とのコラボイベントなので、男子もいるわけだが、数少ない現役理系女子を援護しようということで、すでに理数工のフィールドで活躍している先輩リケジョの方々に参加してもらって、大学への進学や、そして社会に出てからの話を含め、参加した中高生たちの将来に関する生の相談室が行われた(画像19)。

画像17(左):先輩リケジョを招いてのRikejo相談室の模様。画像18(中):講談社が運営するRikejo。画像19(右):先輩リケジョによる現役リケジョ(学生)へのメッセージがまず伝えられた。

40名は全部で5~7人の6班に別れ、そこに先輩リケジョが1人ずつ同席。参加した子たちは「先輩リケジョに相談!」用紙に、「将来こんなことをやってみたい!」と、「そのために、今、わからないこと、心配なこと、知りたいこと!(先輩リケジョに聞いてみたいこと)」を書いて、それぞれ話をしたという具合だ(画像20)。

画像20。「先輩リケジョに相談!」用紙の一例

参加した先輩リケジョたちはまさにバラエティ豊かで、獣医師兼ライター、農学・生物系の編集者、森林・環境系の技術職系公務員、工学部系、物理・理学系とさまざま。それぞれ先輩たちはキャリアも異なっていれば、通ってきた道も異なるし、先輩リケジョの話だけでも興味深くて、1本の記事にできるぐらいだ。

今回は半数以上が中学生であり、まだまだ将来を明確に決められるような年頃ではないはずだが、全員ではないにせよ、結構「将来、こういうことをやってみたい!」という意識を持つ子たちも多かったようで、それには驚かされる。今時は高3ですらなかなか将来やりたいことが見つからないと子供も多い中(実際、筆者の子供たちも高3の時点では明確な将来のビジョンはなかった)、さすがはこうしたイベントに参加するだけはある。

ちなみに、将来、何になりたいかというのをざっと挙げると、機械・ロボットの開発・研究、薬学・医学系、生物系の研究、理系の研究職、医師、化学系で環境に優しいものを作る(グリーンケミストリー)・中学もしくは高校の教員・保健学、グローバルな職業、アニメ・ドラマ・演劇などに関われる仕事、科学関係の仕事、砂漠での植物の栽培に関する研究・微生物の研究(土壌生物)、研究・開発、動物に関わることなどなど。結構、具体的に目標が定まっている子も多く、そのなりたいものになるためには「具体的にどうしたらいいですか?」という質問も多かったようだ。

なお、ロボットの開発・研究を挙げた子が何人かいたのだが、1人は女の子。福島原発にロボットが投入されているのを見て、将来、こうした災害や事故などで人のために役に立つロボットを作りたいと思ったという。その子は奈良県に住んでいるそうだが、筆者も地元にもロボットを扱っている大学や研究機関はあるし、京都とか大阪とか比較的近隣の他県にもいくらでもレスキューロボットの研究をしている大学があること、コンテストなども行われていることなどを短い時間だったが伝えさせていただいた。目を輝かせて聞いてくれていたので、将来を選択する際の手助けになれたら良いなぁ、と強く感じる次第である。