川崎重工は2月20日、追焚き燃焼方式を利用するドライ・ロー・エミッション(DLE)燃焼器において、60%の水素ガス混焼時にNOx(窒素酸化物)値を天然ガス焚き並みの25ppm(O2=15%換算)以下にする技術を開発したと発表した。この技術を活用し、30MW級高効率ガスタービン「L30A」を2015年度中に市場投入するとしている。

ガスタービン(左)、DLE燃焼機(右)

DLE燃焼器とは、燃料を空気と混合させて希薄な状態で燃焼させる予混合燃焼方式を採用し、タービンを高速回転させるためのガスを得る装置のこと。通常NOxの生成量は、燃料を燃焼するときの燃焼温度に依存するが、DLE燃焼器は水や蒸気を使わずに燃焼温度を低くすることができるという特性を持ち、NOx排出量を抑制できるとしている。しかし、DLE燃焼器は低NOx化と安定燃焼が両立できる燃料濃度に制御する必要があるため、特に水素ガス燃焼時には燃焼速度の違いから水素がバーナ付近で燃える逆火が起こりやすいという課題があるという。

同社は、これまでパイロットバーナ、メインバーナ、追焚きバーナの多段バーナ構成によるDLE燃焼器を開発・実用化しているが、今回の技術開発ではDLE燃焼器をベースとして、パイロットバーナとメインバーナは天然ガスを使用し、逆火などのリスクの小さい追焚きバーナを水素ガス焚き用に改良。これにより体積当たり60%(熱量換算30%)に相当する水素ガス混焼を実現し、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の高温高圧燃焼試験設備にて低NOx性能を確認できたとしている。

また、水素ガス混焼ガスタービンは、石油精製工場や石油化学工場から発生する副生水素ガスを使用することで、天然ガス使用量を低減し、CO2を削減することが可能となる。同技術は、水素ガスを体積当たり0~60%(熱量換算0~30%)の任意の割合で利用可能で、利用者の副生ガス発生状況に柔軟に対応できる。同社は、今後も低NOx化をDLE燃焼器で実現するべく技術開発を進めていくとしている。