ネットワンシステムズは2月14日、同社が実施したワークスタイル変革を目的とする人事制度改革に関する記者発表会を開催した。

ネットワンシステムズ 業務管理グループ 人事部 シニアエキスパートの下田英樹氏

人事制度の変更は、ネットワンシステムズが自社内で大規模に実施してきた仮想デスクトップ(Virtual Descktop Infrastructure : VDI)およびユニファイドコミュニケーション(Unified Communications : UC)の導入に伴うもの。「成果創出の加速」「お客様と社員のニーズに対応」「過重労働を削減」という3つのテーマの下、VDI/UCによるテレワーク環境を最大限に活かすべく制度の見直しを行っている。

同社がワークスタイル変革に向けた制度改革に着手したのは2009年度のこと。テレワークを意識した制度の変更は「2011年度から加速した」(ネットワンシステムズ 業務管理グループ 人事部 シニアエキスパートの下田英樹氏)という。

ワークスタイル変革に関する施策

制度の柱となっているのは、「テレワーク制度」「フレックス制度」「シフト勤務制度」の3つ。働く場所/時間を現場が柔軟に選べる体制を敷き、報酬も時間ベースから成果ベースにシフトした。

テレワーク制度の概要

フレックスタイム制度の概要

シフト勤務制度の概要

フレックス制度、タイムシフト制度の棲み分け

上記3つの制度のうち、フレックスタイム制度に関しては、当初は組み込む予定がなかったという。

「成果ベースの報酬制度という点を強く打ちだしたかったので、裁量労働制を拡大する予定でした。しかし、現場のマネージャーからは『社員が新技術を学ぶ時間がとれない』、『いち早く技術を吸収した社員に案件が集中する』などの声が挙がり、一般社員からは、処遇への不公平感などを訴える意見などが寄せられ、最終的に、多様な現場に合わせられるフレックスタイム制度で落ち着きました」(下田氏)

方針の明確性、時間外労働の削減効果という点では裁量労働制に比べて落ちることになるが、「一番大事なのは変革に対する社員自身の気持ち」であることから、フレックスタイム制度が導入されたと下田氏は振り返る。

裁量労働制とフレックスタイム制の違い

また、テレワークをベースとした大きな制度改革に伴う現場の混乱を防ぐため、人事部ではガイドラインも策定した。「特に、コミュニケーション、評価、時間管理に関しては、現場からの声が多かったので、人事部自らが登場する事例記事なども作り、啓蒙と環境整備に努めた」(下田氏)という。

ガイドラインの例

新制度導入からすでに2年以上が経過したが、社員の評価は上々。1カ月に40時間以上残業する過重労働者が減少傾向にあるほか、2012年度は会社全体の売上が20%増加する中で時間外労働の総量が2%減るなどの効果が現れている。

新制度の成果