富士通は2月13日、京都教育大学と共同で、同大の教育・研究システム、図書館システム、および全学情報ネットワークの設備を刷新し、本格運用を開始したと発表した。

京都教育大学は、学内システムのITガバナンスの強化と、運用保守業務の効率化を図るため、2010年に藤森学舎(京都市)のプライベートクラウドへのサーバの集約を開始した。2011年には、富士通のデータセンター内にもプライベートクラウドを構築し、SINET4を介して藤森学舎内のプライベートクラウドと合わせた運用を開始し、メールシステム、およびホームページサーバなどの24時間365日継続運用させたいシステムを富士通のデータセンター側へ移行した。

今回は、教育・研究システム、図書館システム、および全学情報ネットワークの設備を刷新し、学生や教員が、いつでも、どこでも、自分のPCやスマートデバイスで、教育・研究用のアプリケーションや図書目録を利用できるように学修基盤を整備した。

セルフポータルの機能概要

新しい教育・研究システムには、学生と教員が教室や自宅などから教育・研究システム上の教材やシステム、サーバリソースを利用できるように、50台分の仮想デスクトップと、100台分の仮想サーバを構築している。これらの仮想化環境を、学生や教員が自分自身で、容易な操作で利用できる、セルフポータルサイトを新規に構築した。学生と教員は、自分のPCやスマートデバイスから、セルフポータルにアクセスすることで、学内の教育・研究環境を利用できる。

具体的には、仮想デスクトップの予約管理機能や利用時の各種の設定、入力コマンドをGUIで提供する、大学向けクラウドソリューション「UnifIDoneキャンパスクラウド」を活用している。学生と教員は、セルフポータルから予約しておくことで、ダブルブッキングなどに悩まされることなく、計画的に大学が提供する教育・研究アプリケーションを利用できる。また、授業での仮想デスクトップ利用を、期初に一括して予約したり、リソースごとに利用者を制限するなど、大学の運営に合わせた利用もできる。

さらに、仮想サーバ全体の利用状況の可視化や、簡単な操作で仮想サーバの設定や割り当てが可能な、ダイナミックリソース管理ソフトウェア「FUJITSU Software ServerView Resource Orchestrator」により、学生と教員は、自分自身で利用可能な仮想サーバを確認し、必要なリソースやイメージを自由に設定して、仮想サーバを利用できる。

加えて、従来は藤森学舎内のプライベートクラウド上で稼働していた図書館システムを、富士通のデータセンターで稼働している京都教育大学のプライベートクラウド上へ移行した。これにより、学生や教員は、法定停電を気にする必要がなくなり、24時間365日、図書館システムを利用できる。

図書館システムの移行

この他、これまで、学内システムからインターネットへの接続は、富士通のデータセンター内のプライベートクラウドからの回線のみを経由して行っていた。今回、藤森学舎内のプライベートクラウドにも、ファイアーウォールなどのインターネット接続用装置を整備し、インターネットへ接続回線を冗長化した。これにより、インターネット接続の負荷を分散することができ、快適な回線速度でインターネットを利用できるようになったとしている。

インターネットアクセス回線の冗長化