アドビ システムズは16日(日本時間)、Adobe Creative Cloudのメジャーアップデートの一部として、Photoshop CCへの機能追加を実施した。

ターゲットユーザー

Photoshopで3Dプリント

Photoshop CCを用いた3Dオブジェクト作成

Photoshopが3Dプリントに対応

このたびのアップデートでは複数の機能強化が行われたが、中でも最も大きなものは3Dプリントへの対応だ。3Dプリンタ本体に関しては比較的安価な個人向けの製品が次々と発表されている。しかし、オブジェクトを出力するための3Dデータを本格的に制作するためには、専門的な3DCG制作ソフトやCADソフトの使い方を習得する必要があった。

メニューの[3D]>[3Dプリントの設定]を選択すると、属性ウインドウが3Dプリントに関する詳細設定の表示に切り替わる

現在対応している3Dプリンタは4機種

今回、Photoshop CCが3Dプリントに対応したことで、グラフィックデザイナーやその他の分野のクリエイターなど、同製品を使いこなしている人々が3Dデータ制作に参入しやすくなるというメリットがある。また、既存の3Dプリントにおいて課題となっていたトラブルを回避した、高品位な出力を実現したという。同日に行われた記者発表会でプレゼンテーションを行った同社の栃谷宗央氏は、Photoshopはこれ以前にも「Photoshop Extended」シリーズで3Dデータの制作に対応していた実績があると強調。今まで3Dプリンタ用のデータを自作してきた人にとっても、トラブルを未然に防ぐことや仕上げの工程の高品質化など、導入の価値があるものとなっていると語った。

ローカルの3Dプリンタで出力する際のプレビュー画面

3Dプリントサービス「Shapeways」への注文を選択した場合のプレビュー画面

Photoshop CCからの出力方法は、ローカルで接続している3Dプリンタからの出力と、同社がパートナーシップを結んでいる3Dプリントサービス「Shapeways」への注文の2パターン。前者に関して、現在サポートしている機種は「3D Systems Cube」、「MakerBot Replicator 2」、「MakerBot Replicator 2X」、「ZCorp Full Color」の計4機種で、プリント開始前のプレビューでは出力時に発生する支えの部分(スキャフォールディング)の表示の有無も選択できるようになっている。

画像の遠近感を調整する「遠近法ワープ」

また、周辺に影響を与えず、画像の特定部分の遠近感を自由に調整できる新機能「遠近法ワープ」機能が加わった。画像の中の一部を選択した後に「ワープ」ツールに持ち替えて操作すると、まるで選択部分が3Dオブジェクトであるかのように遠近感を変更することができる。これにより、望遠写真を広角写真に変更したり、異なる写真を合成する際にふたつの画像の遠近感を合わせたりすることができる。

[編集]>[遠近法ワープ]を選び、遠近感を調整したい部分を選択

選択が完了したら画面上部の「ワープ」ツールに持ち替え、ポイントを選択して遠近感を調整する

ふたつの画像を自然に合成するため、機関車の遠近感を背景画像に合わせた。左が調整前、右が調整後

リンクされたスマートオブジェクト

そのほか、InDesignやIllustratorではすでに搭載されており、以前から追加の要望が多かった「リンクされたスマートオブジェクト」の利用が可能となった。これは共同作業を効率化するための機能で、スマートオブジェクトをリンクすることで、変更があった場合も再配置することなくそれが反映され、なおかつファイルサイズが小さくなるというメリットがある。

「リンクされたスマートオブジェクト」が使用可能になったことにより、全体のファイルの中の一部が変更された際も、個別に反映せずとも自然に最新の状態が保たれるようになった