F5ネットワークスジャパンは12月11日、データセンタ、クラウド、ハイブリッド・クラウド環境を統合して実現するSoftware Defined Application Servicesの構築とオーケストレーションを可能にする新たなアーキテクチャ「Synthesis」を発表した。Synthesisは、柔軟でマルチテナントに対応し、高いパフォーマンスを実現するサービス・ファブリックで構成され、F5のユーザは、利用者や時間を問わず、高速かつコスト効率の高いレイヤ4-7ネットワーク・サービスの導入・提供が可能となる。
Synthesisアーキテクチャは、F5独自のTMOSやScaleNなどのテクノロジをベースとして実現され、よりインテリジェントなアプリケーション・サービスをITインフラストラクチャやクラウド環境でも利用するために必要な機能を新たに提供する。
F5によれば、これまでの技術革新の一つの集大成であり、Software Defined Application Serviceを備えたSoftware Defined Data Center(SDDC)を提供するというF5のビジョンを進化させるものだという。Software Defined Application Serviceは、ビジネスに重要なレイヤ4-7サービスに対応することで、既存のレイヤ2-3ネットワークとコンピューティング中心のITシステムをアプリケーション利用環境を中心に補完するものである。マネジメント・プレーン、コントロール・プレーンをカバーする包括的なAPIを公開し、SDN(Software Defined Network)、仮想化システム、クラウドと既存システムとの統合と相互運用を実現する。
F5は、ユーザがSynthesisアーキテクチャを容易に実現できるよう、ユースケースともなるリファレンス・アーキテクチャも同時に発表した。このリファレンス・アーキテクチャにより、セキュリティや可用性などのIT課題を解決し、また本番環境での利用開始までの期間を短縮し、ビジネスで求められるネットワーク・サービスの構築を支援する。
F5ユーザーは、Synthesisを新しいライセンス体系と組み合わせることにより、サービス提供にかかるコストを削減できるため、多機能で拡張性の高いネットワーク・サービスをすべてのデバイス、ネットワーク、アプリケーションに拡大して利用することができる。また同社では、ユーザがSynthesisアーキテクチャを導入しやすいように提供形態を広げ、段階的なライセンス体系を採用することで、アプリケーション・サービスを一括して導入する際の費用を大幅に削減した。
SynthesisのScaleサービス・ファブリックを、ITシステムを構成するハードウエア、ソフトウェア、クラウド・インフラストラクチャに導入することで、スケーラビリティの向上につながり、管理ドメインと仮想インスタンスを組み合わせて最大128万インスタンスまで対応し、20.5TBの最大スループットと、92億の最大コネクション・キャパシティを実現する。
一元化された管理システムにより、自動的なデバイス検知、サービス・ファブリック・インスタンスのプロビジョニングが可能になり、エンジニアのマニュアル作業に伴う運用コストと作業時間を削減できる。また、デバイス、ネットワーク、アプリケーションのドメイン全体にわたって、高速なプロビジョニングと包括的なアプリケーション・サービスの拡張が可能となる。
Synthesisの構成要素の1つであるBIG-IQにより、大規模企業やサービスプロバイダは、アプリケーション・サービスを容易に管理・拡張・自動化できる。また、BIG-IQによってマルチテナントでの管理アプローチが可能になり、サービス・ファブリックのマルチテナント機能を補完し、IT as a Service(ITaaS)やSDDCの運用上のメリットを拡大する。