国立天文台は11月18日、すばる望遠鏡に新たに搭載した超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)」が太陽に接近しつつあるアイソン彗星(C/2012 S1)の姿を捉えたと発表したことを撮影画像付きで発表した。

すばる望遠鏡に搭載したHSCで撮影したアイソン彗星。ハワイ現地時間2013年11月5日の明け方 (日本時間同日23時から24時頃) 撮影、観測波長は760nm (iバンド)。画像の上が北、左が東で、視野の直径が1.5度角。 (C)HSC Project / 国立天文台

HSCは、すばる望遠鏡向けの超広視野主焦点カメラのことで、国立天文台が中心となって東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構など国内外の研究機関とともに開発したもの。開発チームによると満月9個分の広さの天域を一度に撮影する性能があるという。

今回アイソン彗星の観測が行われたのは、ハワイ現地時間2013年11月5日の明け方(日本時間同日23時から24時頃)。すばる望遠鏡とHSCとの組み合わせにより、彗星の高度が30度以下、かつ、低空という厳しい条件の中でも、地球から約1.7億km離れていた彗星の1度角以上も延びる尾を淡い部分まではっきりと捉える事ができたという。

なお、アイソン彗星は日本時間11月29日に太陽に最も接近するとされている。今回の成果を受け、国立天文台では今回すばる望遠鏡が捉えたものと同様の姿を双眼鏡や肉眼でも見られる可能性があると、コメントしている。