調査会社の米Gartnerは10月8日(現地時間)、米フロリダ州オーランドで開催中の自社イベント「Gartner Symposium/ITxpo 2013」で、2014年の戦略的技術トレンド10を発表した。全体として、ソーシャル、モバイル、クラウド、情報の4大技術分野の融合が引き続き台風の目となるが、技術進展を反映した内容となった。

同社が毎年秋に発表している技術トレンド予測。Gartnerでは、今後3年間で企業に影響があると思われる技術を「戦略的技術」としている。「必ずしも投資したり採用する必要はないが、今後2年間で慎重に決断する必要がある」として、戦略的プランニングのプロセスで考慮することを推奨している。今年は以下のようになった。

  1. モバイル端末の多様化と管理
  2. モバイルアプリとアプリケーション
  3. あらゆるモノのインターネット(Internet of Everything)
  4. ハイブリッドクラウドとサービスブローカーとしてのIT
  5. クラウド/クライアントアーキテクチャ
  6. パーソナルクラウドの時代
  7. ソフトウェア定義(SDx;Software Defined anything)
  8. 企業内で大規模なクラウドサービス事業者の機能を実現するWebスケールIT
  9. スマートマシン
  10. 3Dプリンティング

モバイルでは、2018年に向けてデバイス、コンピューティングのスタイル、ユーザーの文脈(利用上の状況)などがさらに多様化し、"すべてを、いつでも(Everything Everywhere)"の達成が難しくなるとしている。また従業員が自分の端末を業務に利用するBYODにより、業務に利用するモバイルは2倍~3倍増に拡大すると予想している。ここではポリシーの見直し、場合によっては改訂の必要もあるとしている。

アプリケーション側では、JavaScriptの性能改善により2014年にはHTML5とブラウザが業務アプリケーション開発環境のメインストリームになると予想。傾向としては、モバイルアプリはより小さく、ターゲットをしぼったものになり、数は増えるという。一方で、アプリケーションはより包括的になり数は減るとみており、開発者はさまざまな端末に対応できるユーザーインタフェースの構築、複数のアプリで構成されるアプリケーションの構築方法などを考慮すべきと提言している。

モノのインターネットについては、現場で利用する機器、コンシューマー側では車やTVなどにインターネットが拡大している一方で、運用と組織の両方の面で対応が遅れていると指摘する。モノに制限せず、人/モノ/情報/場所の4つのインターネットで、管理/マネタイズ/運用/拡張の4つの基本的なデータ利用モデルを適用するよう助言している。

クラウドについてはハイブリッドを見据えてプライベートクラウドを設計する必要があるという。ハイブリッドクラウドはさまざまな組み合わせが考えられ、サービスのアグリケーション、統合、カスタマイズを担当するクラウドサービスブローカー(CSB)が責任を持つことになるとしている。

今回新しくリストに入った3Dプリンティングは、3Dプリンターの出荷台数が2014年に75%増で、2015年にはほぼ倍増ペースで拡大すると予想している。主としてコンシューマーのトレンドだが、企業は3Dプリンティング技術は現実のものであり、設計の改善、プロトタイピングの合理化などでコスト効果のある手段として考えることができると提言している。