明治は9月6日、ホットミルクを飲んだ際、どうして"ホッとする(リラックス)"状態となりやすいのか、生体反応として科学的な確認をしたと発表した。

同成果は、同社食品開発研究所と金沢工業大学感動デザイン工学研究所の共同研究によるもの。詳細は東京女子大学にて9月5~7日の期間で開催された「第15回 日本感性工学会大会」にて発表された。

ホットミルクを飲むと、身体があたたまり、リラックスしやすくなることは多くの人が体験的に知っている。その科学的な作用としては、牛乳含有のメラトニンなどの栄養成分が関与していると考えられてきたものの、それを実際に、生体反応として科学的に検証した例はほとんどなかったという。

今回の研究では、ヒトの心と身体がどのような状態になっているかに着目し、ホットミルクの飲用の有無による比較実験を行ったという。

具体的には、20代男性10名を被験者として計算課題を3分間解答させることで「ストレス状態」を疑似的に作りだした後、60℃のホットミルクを飲んだ場合と、ホットミルクと等カロリーになるようショ糖を添加した60℃のお湯を飲んだ時の違いを、主観評価と心電計測、ならびにサーモグラフィによる顔面温度測定により比較を行ったという。

この結果、VAS(Visual Analog Scale)を用いた主観評価(今回の研究では、「現在の気持ちについて、緊張・リラックス状態を線の長さで評価してください」として、10cmの線のうち自分は何cmに該当するか線を引いてもらう評価法)ではホットミルクを飲んだ時のほうが緊張やイライラの度合いが低く、心理的にもストレスが緩和されていることが判明した。

またストレスにさらされると、交感神経の活動が高まり、顔面温度の低下が引き起こされることが知られているが、心電計測とサーモグラフィによる顔面温度測定では、ホットミルクを飲んだ場合の方が、統計的に交感神経活動指標が低い状態、つまり副交感神経活動が高い状態(いわゆるリラックス状態)であることが確認されたとのことで、これらの結果から、研究グループでは、主観評価および生理機能の測定によって、「ホットミルクを飲むとリラックスする」現象を科学的に確認することに成功したと説明している。