琉球大学と奄美機能性食品開発研究会は、奄美群島から台湾に分布するシマアザミに関して、抗肥満作用を確認したと発表した。
同成果は、同大の屋宏典 教授、徳之島徳洲会病院長の上山泰男氏らによるもの。詳細はBioMed Centralが発行する生命健康科学系ジャーナル「Lipids in Health and Disease」に掲載された。
植物アザミ種に含まれるフラボノイドは健康維持に有用であることが知られており、シマアザミについても、ポリフェノールを多く含むことなどから、抗肥満作用を示すことが期待されたことを受け、今回、研究を行ったという。
具体的には、シマアザミの葉凍結乾燥粉末(CL)を種々の溶媒で抽出し、これらから得た抽出物の脂肪細胞における脂肪生成抑制効果を調べたほか、高脂肪食とともにCLをマウスに与え、高脂肪食のみを与えたマウスと、肝臓の脂肪量、血中の脂肪酸値、皮下脂肪の量などについて比較を行ったという。
また、脂肪代謝に関連する遺伝子のメッセンジャーRNA量を脂肪細胞やマウスの肝臓や脂肪組織にて測定も行ったとする。
脂肪細胞をCLのヘキサン抽出物で培養したところ、同細胞での脂肪の蓄積量が有意に減少し、脂肪酸合成酵素の発現が抑えられることが確認された。また、高脂肪食のマウスにCLを同時に与えると脂肪酸の血中濃度が低下し、皮下脂肪量も有意に減少し、脂肪酸合成酵素の発現も抑えられること、ならびに肝臓の脂質量もCLを与えることで、有意に減少し、肝臓障害の程度も有意に抑えられることも確認されたほか、高脂肪食とCLを同時に与えたマウスの肝臓での脂肪酸合成に関連する酵素系(mRNA)が抑えられ、脂肪酸酸化の系(mRNA)が促進されることも確認されたとする。
なお、今回の成果について研究グループは、CLは肝臓と皮下脂肪組織での脂質の蓄積を脂肪酸合成酵素の遺伝子発現の抑制などにより抑さえていることを示すものだとしており、今後は、奄美群島の徳之島町にて生産組合を立ち上げ、初期には研究用、徳之島町における小規模販売、福岡市にある徳之島町のアンテナショップjでの試験販売に向けた量の栽培を行っていき、実績作りを図っていくとするほか、1年以内をめどに臨床試験につなげていければともコメントしている。