アトラシアンの「Confluence」は、Webコンテンツ作成/情報検索/SNS/タスク管理といった機能をベースに、組織内の情報共有とコミュニケーションを促進させる“コラボレーション”ツールである。

情報共有ツールやコミュニケーションツールは多数あるが、Confluenceほど多機能で、しかも統合されたものは類を見ない。実現できる“共同作業”は多岐にわたるため、機能の紹介だけでは、この便利さがなかなか伝わりにくいと思われる。

そこで今回は、Confluenceのメリットを少しでもイメージしやすいように、3つの活用方法を仮想事例的に紹介しよう。

仮想事例1:健康プロジェクトの進捗報告をブログ風にして閲覧率アップ!

Aさんは、定期的に開かれる社員の健康状態の確認や季節的な注意事項などを話し合う、健康促進プロジェクトに参加し議事録を作成する係に就いていた。会議の内容は、各担当者が部署に持ち帰って情報を共有する。

しかしAさんは、情報共有の方法に限界を感じていた。これまでは、Excelファイルにまとめた議事録をファイルサーバに格納して、メールで全社員に伝えるという方法を採っていたが、部署によってはあまり積極的に閲覧されず、プロジェクトの内容すらよく知らない社員も少なくないというのが実状だ。

そこでAさんは、最近導入されたConfluenceを使うことにした。Excelよりも簡単にドキュメントを作成でき、健康に関するグラフ資料や社員に読んでほしいWebサイトのリンクなどを、どんどん貼っていくことができる。社員への共有も、「共有」ボタンを使って簡単に行える。

Aさんはレイアウトや見出しの書き方、イラストなどを工夫して、会議の内容をWeb記事風にまとめてみることにした。Excelの無味乾燥な議事録では、よい情報があっても読んでもらえないと感じていたからだ。会議中に作成した正式な議事録は、個別にアップロードしておけばよい。

Confluenceのコンテンツエディターなら、記事風のページも簡単に作ることができる

すると、だんだんと見てくれる社員が増えていき、「いつも読んでるよ!」などとコメントをくれる社員も出はじめた。PDFへの変換ツールを使ってきれいに印刷し、自宅に持ち帰って家族で読んでくれる社員もいた。「いいね!」の数が増えると、Aさんのやる気も増していった。過去の議事録も記事にしてほしいという要望には困ったが、Confluenceはドキュメントの中身も検索できるから、過去の情報を参照しながら記事を作っていくことができるため、まずは既存のファイルをアップロードすることから始めることにした。

仮想事例2:なかなか進まない商品開発…みんなの力を貸して!

Bさんは、ある企業の商品開発部門に所属している。来年の発売を予定している商品について、数名のメンバーでプロジェクトを進めているところだ。大まかな方針が決まり、さらにアイデアを出し合って細部を詰めていくという段階に入っていた。

Bさんは、プロジェクトの進行が少し停滞していることに苛ついていた。ブレストを行ってもよいアイデアがなかなか出ないのだ。“ブレイン”がもっとほしいところだが、ほかの開発部門のスタッフもそれぞれプロジェクトを持っているため、人員の拡充は望めない。

そこでBさんは、新しく導入されたConfluenceを使って進捗を公開しながら、SNSの機能を使い、ほかの社員からアイデアを募ったらどうかと考えた。新商品の情報公開には不安もあったが、権限の管理が容易なため、最重要の機密情報は保護できる。

最初のうちは、Confluenceを使ってプロジェクトメンバー内でディスカッションするだけだった。しかし、これがなかなか具合がよい。直接話し合うミーティングとは異なり、冷静に議論を進めることができ、空き時間などに気づいたことをどんどん書けるため、アイデアを忘れることがない。

プロジェクトの進行が加速し始めたのは、Confluenceを使い始めて少し経ってからのことだった。営業担当者が「ある顧客がこんなことを話していた」と突然コメントをくれたのだ。

そのコメントは、商品開発に関する直接的な意見ではなかったが、大きなヒントになり、そこでBさんが「こうしたらどうか」と書き込むと、営業担当者は「そういえば、こんなことも言っていた」と記憶を呼び起こして、さらに情報を書き込んでくれる。

そうして何度かやりとりしているうちに、また別の部署のスタッフが「こうしたらどうだろうか」と新しいアイデアを書いてくれた。しかし今度は、Bさんには、あまりよい方法だとは思えなかったのだが、このアイデアにだんだんと「いいね!」がついていくのだ。

Bさんは気付いていなかったのだが、プロジェクトのページを見てくれている社員は思ったよりも多かった。そして、Bさんがイマイチだと思ったアイデアは、多くの社員が「いいね!」と思っているようなのだ。

だんだんとコメントを書いてくれる人が増え始め、新しいアイデアの良さがBさんらにも理解できてきた。Bさんは、プロジェクトの遅延にいら立って、ユーザーの目線に立てなくなっていたのだと気づくことができ、このアイデアを商品に盛り込み、さらにほかの意見を吸収しながら、商品開発を進めていった。

商品の開発が一段落したある日、Bさんはディスカッションに参加してくれた営業担当者と打ち合わせを行っていた。そこで彼は「自分も商品開発に参加している気持ちになれた。商品のアピールポイントもよくわかったし、たくさん売れると思う」と言う。商品開発のディスカッションが、そのまま営業部門との情報共有になっていたのだ。これがConfluenceの“コラボレーション”なのだと、ようやく気づいたBさんだった。

ミーティングが終わっても、Confluenceでまとめればディスカッションをさらに続けることができる

仮想事例3:アドオンでConfluenceをパワーアップ!

Cさんは、20人の営業スタッフを束ねる課長職にある。最近導入されたConfluenceによって情報共有やコミュニケーションが強化され、営業成績が少しずつ上昇していることを実感していた。

ただ、不満がないわけではない。Confluenceはタスク管理の機能を標準搭載しているため、各スタッフへの指示も明確にできる。しかし、営業スタッフは外出が多く、スケジュールを把握できないと指示もままならない。

あるとき、Cさんが同期である情報システム部門の課長と話していると「カレンダー機能を付けようか」と言う。何でも「Confluence Team Calendars」というスケジュール管理ツールを、後から簡単に追加できるというのだ。

Confluence Team Calendarsは、個人のカレンダーを共有してチームのスケジュールを統合的に管理できるアドオンである。OutlookやGmailとの統合も可能なため、既存の利用者の移行もスムーズに進められるはずだ。

Cさんは、20名のスタッフのスケジュールを細かに把握し、さらに的確な指示を与えることができるようになった。スタッフの勤務状況や健康管理に気を配れるようになったため、営業成績も伸びていくことだろう。

Confluence Team Calendarsアドオンを導入すれば、チームのスケジュールをひと目で把握することが可能だ

アトラシアンの「Marketplace」(https://marketplace.atlassian.com/ )では、Confluenceをはじめ、その他のツールにも対応したアドオンが配布されている。Confluence用のアドオンは400を超え、管理ツールや言語パック、モバイルツールなどさまざまなジャンルのものが揃っている。Microsoft Visio風に図形を描ける「Gliffy」のような描画ツールに人気が集中しているが、Salesforceの情報を利用できる「Connector for Salesforce and Confluence」のようなアドオンもある。オリジナルのConfluenceを作り上げれば、社内のコラボレーションがさらに強化されることだろう。

Atlassian Marketplaceでは、Confluenceをはじめとしたアトラシアンのツールに搭載できるアドオンを入手できる。有償・無償含めて多数の有用なツールがあるため、目移りしてしまいそうだ

本稿では、Confluenceの魅力を分かり易く紹介するべく仮想事例によって紹介してきたが、本連載を締めくくる3回目では、実際に導入した企業の生の声を皆様にお伝えしますので、ぜひ期待していただきたい。