Bitcasa プロダクトディレクター |
クラウドストレージ「Bitcasa Infinite Drive」を提供する米Bitcasa, Inc.は8月28日、これまで米国を中心に提供してきた同サービスについて、日本を含むアジア地域での正式提供を発表した。
Bitcasaは2011年に米国でベータ提供を開始し、2013年2月からは正式サービスとなっている。データ容量が10GBまでは無料トライアルとして利用でき、月額10ドルか年額99ドルを支払うことでクラウド上に容量無制限のストレージが提供される。Windows版やMac版のクライアントアプリやスマートフォンアプリ、Webブラウザでの利用などマルチデバイスに対応しており、クラウド上に保存されるデータはクライアントサイドで暗号化(AES-256)してから転送するといったセキュアな仕組みなどが特徴となっている。
これまでも日本からサービスの利用は可能で、現在の有料利用ユーザの12%が日本からの利用者だという。この数字は米国に次ぐものとなっている。
今回のアジア地域での正式サービスでは、日本語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語インタフェースの提供と、同社のストレージネットワークの整備でアジア地域においてもグローバルレベルのファイルアップロードスピードとストリーム機能が実現されている。
同社プロダクトディレクターのルーク・ベンキ氏は、Bitcasaのサービスが160カ国以上で利用されており、そのユーザデータが30PB(約3000万GB)に達していることに触れ、米国に次ぐユーザ数の日本をターゲットとした理由に「日本は新しい技術を採用する人が多いし、インフラもしっかりしている」ことなどを挙げた。
同氏は、具体的なユーザ数などは明らかにしなかったものの、最近の状況を「二桁%の勢いでユーザが増加している」と述べる。クラウドストレージサービスはDropboxやSugarSync、Googleドライブ、Yahoo!ボックスなど各社から提供されているが、同氏は独自のテクノロジーをベースに、容量が無制限で定額であること、HDDのように直感的に扱えるインターフェース、データの暗号化といった競合との差別化ポイントを挙げ「(市場参入は)後発であるが、ユニークなソリューションを提供していると自負している」と自信を見せる。
ガートナーの調査によると、一般世帯のデジタルコンテンツの容量は2016年に3.3TBまで増加し、このうちの33%がクラウド上に保存されるようになるという。このような中でユーザがストレージに求める機能も単なるバックアップを超えて変化してきている。たとえば、容量制限が無いことやどこからでもどのようなデバイスでもアクセスできること、簡単にデータをシェアできる仕組みなどが挙げられるが、ベンキ氏は「Bitcasaはこの市場を獲得していく準備ができた」と語る。
実際にBitcasaを利用している層は、新しいテクノロジーに関心のある人や、データ保管とデータのやり取りに利用するカメラマンやデザイナーなどに加えて、デジタル機器を利用するホームユース層やSNS世代などがメインになっているという。
Bitcasaは、ローカルドライブのデータをクラウド上にバックアップし各端末へコピーする同期型のストレージサービスとは異なる。Bitcasaでは、Infinite Driveに保存されたデータをクラウド上に保管し、各端末からはストリーミングでデータにアクセスする仕組みになっている。これによって、各端末のローカルストレージ容量を圧迫せずに利用が可能となっている。一方で、同期型としても利用できるようにミラーリングの機能も提供している。
Bitcasaは個人向けのサービスだが、今後、SMBなどエンタープライズに向けてチームでの共有機能などの提供を検討しているという。
なお、Bitcasaでは日本を含むおよびアジアでのサービス提供記念として、新規ユーザーを対象に20%割引となる年額79ドルで利用できるプロモーションコードを提供している。期間は2013年9月15日までで、プロモーションコードは「ASIA20」。