東芝と山形大学は8月6日、共同で重粒子線がん治療装置に利用する超伝導電磁石の研究・開発に着手したことを発表した。
重粒子線によるがん治療は、身体の深いところにあるがんに対してもピンポイントで照射が可能なため、従来のX線治療とはことなり、正常な細胞を傷つけにくいほか、陽子線治療と比べた場合、がん細胞を殺傷する能力が高いという特長がある。
今回の共同研究は、炭素イオンを光の速さの約70%まで加速してがん細胞に照射する重粒子線がん治療装置の省エネルギー化などの実現に向け、ビーム輸送系の超伝導電磁石を高性能化することを目的に行われる。期間は2013年7月~2014年3月までが予定されている。
なお、東芝の重粒子線がん治療装置は、放射線医学総合研究所に導入されているほか、神奈川県立がんセンターなどから受注を受けている。また、海外展開に向け、アブダビ首長国やマレーシアなどとの連携も進められており、東芝では、今回の共同研究を機に、最先端がん治療システムの研究開発を加速していくとともに、山形大学が今後導入予定の重粒子線がん治療装置に、今回の研究成果を適用することを目指すとしている。