また、今後の長期的な方針として2010年に発表した「新30年ビジョン」についても改めて語った。

同氏は、「ムーアの法則が有効な状態が続いたらという仮定で計算すると、CPUのトランジスタ数が2018年には脳細胞の数を上回るという。そのまま300年後まで計算を進めると脳細胞数が変化しないままであるのに対して、CPUは驚異的な性能を持つことになる。その時代には知的ロボットとの共存やテレパシーが人と人をつなぐ世界が実現するかもしれない」と夢を語った。

「ほとんどサイエンスフィクションの世界だが、その想像をした上で30年後の未来を振り返ると、退屈するほど。それくらい当たり前だろうと思えてくる」と語った孫氏は、30年後の標準的なスマートフォンが持つ性能として、3,000兆個のトランジスタを持つCPUと32PBのメモリを搭載し、通信速度は3Pbpsという例を出した。

「そうしたスーパースマートフォンが出て来るとクラウドはいらないと思うかもしれないが、それは大間違い。通信の速度が300万倍になるわけだから、ローカルとクラウドの境目がないスピードでつながる。それは人々のライフスタイルを劇的に変えるだろう」と語った。

2040年のスタンダードなスマートフォンの性能予測

同氏は、いち早くクラウドやビッグデータを活用している事例として、ソフトバンク自身の取り組みを紹介。1つは毎月7.5億件にもなるアプリ通信ログを解析するパケット接続率調査だ。地図情報、基地局情報、クレーム情報など各種情報と組み合わせて300億のレコードを分析することで基地局計画の最適化に活用しているという。

300億のレコードを分析して基地局計画に活用

もう1つは、そうした取り組みによる電波改善の実感がユーザーにあるのかどうかをツイート解析によって分析するという取り組みだ。TwitterとFaceBookの投稿1億2000万件を無作為に抽出して解析。自然言語処理による感情分析を行っている。

そして、クラウドを活用した新たなワークスタイルとして、全員がiPadを持ちペーパーレス化も進めているソフトバンク自身の事例とともに、iPad等を導入した各社の事例も紹介した。