全国精神保健福祉連絡協議会、日本精神保健福祉連盟、国立精神・神経研究センター、うつ病の予防・治療日本委員会、塩野義製薬は、うつ病患者のアート作品を展示する「アートでふれる、うつの心と軌跡展」を開催している。会期は7月11日まで。開場時間は8日が13:00~21:00、9日、10日が11:00~21:00、11日が10:30~19:00。会場は東京都・渋谷ヒカリエ ヒカリエホールB。入場無料。

死産を経験したことをきっかけにうつ状態となり、うつ病および多重人格障害と診断されたイザベラ・ダンカンさんの作品。左から、「I cried so long I became a mermaid」(2000)、「Mother and child,in your hands」(2000)、「Envy's Mask」(2000)

同展は精神医学に芸術を導入した世界初の活動拠点である豪州の「ダックス・センター」所蔵のアート作品31点を展示するもの。作品展示に加え、同施設の倫理委員会会長であり、メルボルン大学精神医学名誉教授のシドニー・ブロック氏が来日し、同氏による市民公開講座が会期中毎日開講される。

ユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の2世代目サバイバーのレナ・ホフマンさんの作品。左から、「Vale of Tears」(2008)、「Black Box」(2008)、「Hoica」(2008)

一般公開に先駆けて行われたプレス内覧会では、シドニー・ブロック氏が展示作品の解説を行う講演が行われた。同氏によれば、展示作品は同施設が収蔵している1万5,000点以上の作品の中から厳選したものであり、うつ病は世界的に罹患率が高く、日本も例外ではないと語った。その上で、うつ病の多様性を知らせることができるように、異なる性質の作品を選んだとコメント。この言葉通り、9歳の男児や16歳の少女、産後うつを発症した女性、ジャーナリストの成人男性、50代の美術教師などといった異なる立場の人々の作品が展示されている。

自身の幼少頃から不定期にうつ病を発症し、3人目の子どもを出産した後に産後うつ病と診断されたジュリー・グッドウィンさんの作品。左から、「No title」(2000)、「No title」(2001)、「No title」(2001)

なお、シドニー・ブロック氏による市民向け講座は事前申込制で、締め切りは参加希望日の前日まで。手続きは全国精神保健福祉連絡協議会のWebページあるいはFAXにて行うことができる。