ベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)のMary Meeker氏は5月29日、インターネットのトレンドレポートの最新版「2013 Internet Trends」を発表した。モバイルとタブレットという新しいコンピューティングサイクルの中でウェアラブルなどモノのインターネットトレンドが見え始めており、「これまでのパターンとは異なる」と記している。
Meeker氏はMorgan Stanleyなど米証券業界でアナリストを勤めた後、KPCBにパートナーとして勤務。KPCBで毎年作成しているInternet Trendsは、業界でも注目の高いレポートのひとつで最新版はLiang Wu氏との共著。
120ページ近くのレポートでの注目点は、モバイルとウェアラブルだ。モバイルについては、2013年の予想ではスマホユーザーは15億人、フィーチャーフォンは50億人とまだまだ成長が見込める初期段階であるとする。また、タブレットについては、「iPad」登場からわずか3年でデスクトップPCとノートPCを超えたことなどを紹介している。
コンピューティングはこれまで、1960年代のメインフレーム、1970年代ミニコンピューティング、1980年代パーソナルコンピューティング、1990年代のデスクトップとインターネット、2000年代のモバイルインターネットと、10年おきに新しいサイクルが起こった。現在は、スマートフォンとタブレットの2つのコンピューティングサイクルにあり、3つ目のサイクルとしてウェアラブルが急速に発展していると指摘する。
ウェアラブルについては、ハンズフリー、常時接続、GPSやコンパスなど環境認識、無線接続、開発プラットフォームなどを挙げている。たとえばモバイル端末とウェアラブル端末上のフィットネスデータは毎月2倍のペースで伸びているという。このほかにも車載システムなど"Drivable"、ヘリコプターや無人機など飛行する機材がセンサーを装着し農業、スポーツエンタメ、公安などの用途で利用される"Flyable"、QRコードなどスキャンを利用する"Scannable"などのトレンドを紹介している。
常時接続のトレンドが世界で継続していることにも触れており、デジタルメディアコンテンツの生成と共有が急ピッチで増加しているという。同レポートでは、ツイート、写真・動画などのデジタル情報の作成と構築が2011年までの5年間で9倍成長して2ゼタバイト級になっており、2015年にはさらに4倍の8ゼタバイトに到達するというIDCの予想などを紹介している。また、写真の共有は、2010年に1日2億件だったアップロード数が2013年には5億5000件近くに達するという。
ソーシャルメディアについては、9割以上がFacebookを利用、次いでYou Tube(6割強)、Twitter(約3.5割)、Google+(約3割)、LinkedIn(2割強)などが続いた。上位10サービスのうち、Facebookだけが2012年の利用率が2011年を下回ったと報告している。これらのトレンドとともに、これまでの匿名ベースのインターネットが、実名ベースに変わりつつある点も指摘している。
シェアについては国により意識が異なり、サウジアラビアでは6割以上が「なんでもシェアする」「ほとんどシェアする」と回答したのに対し、日本は5%に満たず、24カ国中最下位だった。