Texas Instruments(TI)は5月22日、都内で同社のアナログ半導体事業に関する説明会を開催した。

TIのシニア・バイス・プレジデント アナログ事業統括のBrian Crutcher氏

同社の売り上げに占めるアナログ半導体の比率は年々増加してきており、2012年第1四半期では54%であったものが2013年第1四半期には57%まで拡大している(2012年第4四半期は56%)。登壇した同社シニア・バイス・プレジデント アナログ事業統括のBrian Crutcher氏は、同社が従来アナログ半導体事業として注力する「データコンバータ/アンプ」、「インタフェース/クロック」、「バッテリ/パワーマネジメント」の3分野への注力の方向性は変わらないが、National Semiconductor(NS)の買収により入手したオンライン設計ツール「WEBENCH」への注力を加速させていることを強調しており、「WEBENCHは日本でもさまざまな用途で使われており、特に産業用モータドライブの領域や自動車向けインフォテインメントシステム向けソリューション分野では良く使われている」とし、WEBENCHの採用状況は日本が世界のほかのどの地域よりも高い伸びを示しているとする。

アナログ半導体を3分野に提供するほか、WEBENCHの利用促進を図ることで、潜在的なユーザー数の拡大を図り、売り上げの拡大を狙うとしている

WEBENCHの概要。過去1年で全世界で27000名以上の新規ユーザーがWEBENCHを利用した。また2012年の日本のWEBENCH Power Designerの利用率は前年比で60%増となっている

システム例:産業用モータードライブ

システム例:オートモーティブ・インフォテインメント

また、「我々の狙いは、電源回路を考えた場合、その設計をカスタマが容易にできるように手助けすることであり、WEBENCHを活用することでそうした作業のベストインクラスの導入の手助けが可能になる」とし、カスタマは独自で設計・開発を行うほか、TIの提供するさまざまなツールなどを活用したり、テスト検証済みのリファレンスを活用できるようになったり、同社と連携することで、「TIのFAEがカスタマが独自設計を実現できるように協力する体制も構築しており、これにより高い付加価値を持たせつつ、短TAT化などを実現できるようになる」とした。

さらに同氏はWEBENCHのようなソフトウェアだけでなく、ハードウェアへの注力も強調した。同社はこの4年で4つの工場(テキサス、会津、中国、そして後工程のフィリピン)を稼働させており、現在のアナログ半導体の年間売り上げ70億ドルに対し、その倍の売り上げを達成できる生産能力を確保したとする。また、パッケージングへの投資も行っており、より小さなパッケージで高性能、高温度特性、高耐圧性の実現を目指しているとするほか、75のアナログ半導体向けプロセス技術を保有しており、次世代アナログ半導体の実現に向けたIPなどの開発も進めていることから、これらを活用してもらうことで、カスタマはより早く、より多くのことを実現できるようになるとした。