コンテンツ削除要求は増えている。棒グラフの水色は「全てのリクエスト」、灰色は「政府、警察など」、薄紫は「裁判所命令」

米Googleは4月25日、政府からのコンテンツ削除要求などの情報を報告する「Transparency Report」の最新版を発表した。政府によるコンテンツ削除要請は増加していると報告している。

Transparency ReportはGoogleが3年前から公開しているもので、政府や著作権保有者などが提出した削除リクエストの件数、政府や裁判所が提出したユーザーデータの要求件数などを報告するレポート。Googleはこのレポートを半期に一度公開しており、今回で7回目で、対象期間は2012年7月~12月。

期間中、政府からのコンテンツ削除要請はこれまでで最高の2285件に達した。合計で2万4179件のコンテンツ削除要求があったという。前回(2012年1月~6月)は要請件数は1811件、コンテンツ数にして1万8070件だった。「Googleが収集・公開するデータが増加するに伴い、政府がGoogleサービス上のコンテンツを検閲しようとする範囲も拡大している」と報告している。政府関係者を批判するブログなどのコンテンツ削除要請を複数の国の裁判所から受けたという。

国別の傾向としては、ブラジル、ロシア政府などの要求が増加したという。たとえば、ブラジルの削除要請は前回の191件から697件に増えた。日本では、「外務省から、在外大使館一覧に掲載されている政治的問題への政府の立場に関するコンテンツが複製されているGoogle+のレビューに対して、削除リクエストがありました。サービス ポリシーに違反するため、Googleは2,558件のレビューを削除しました」と報告している。

今回からYouTube動画に対する政府からの削除要求についても情報を公開している。これにより、YouTubeが定めるコミュニティガイドライン違反のために削除したのか、個々の国の法律により閲覧が制限されているのかが分かるようになるという。

なお、期間中、映画「Innocence of Muslims」(米、Nakoula Basseley Nakoula監督)のクリップを含む動画に対し20カ国から調査を受けたことも明らかにした。これらの動画はコミュニティガイドラインに違反しているものではなかったが、自国の法律に沿った正式な苦情を受け取ったことから一部の国で閲覧を制限したという。