イントラリンクスは3日、東京大手町でCEO記者会見を開催した。イントラリンクス米国本社社長兼最高経営責任者 ロナルドWホブスピアン氏が登壇。グローバルビジネスにおけるM&Aの近況と同社の新サービス「IntraLinks VIA」について説明した。

イントラリンクス米国本社社長兼最高経営責任者 ロナルドWホブスピアン氏

ホブスピアン氏は、最初に2012年度のM&A市場について言及。「第2四半期は過去1年で低迷傾向にあった後、初期段階のM&Aが世界規模で20%以上増加、その後第4四半期にAPAC(アジア太平洋地区)では前年同期比21%以上、日本では前年同期比で43%以上増加した」と述べた。

さらに同氏は「投資やM&Aの取引の際に行われる金融商品などの資産に関する調査活動であるデュー・デリジェンスの件数は2012年と2011年を比べると北米で11%、欧州/中東/アフリカで22%、アジア太平洋地区で28%、南米で24%とそれぞれ増加。グローバル全体で見ると18%の増加となった」と強調。また外国企業とM&Aを行うクロスボーダーM&A案件も30年前から見ると全体的に上向き傾向で推移していると説明した。

日本のM&A市場についても言及し、「2012年のAPACのM&A市場は縮小しているにも関らず、その中の日本のM&Aは8%増加している」と強調。そのうち、外国の企業を日本に取り込むM&Aのクロスボーダー・インバウンドは18%増加、日本の企業が海外へ取り込まれるクロスボーダー・アウトバウンドは12%増加した」と述べ、日本におけるM&Aの案件数は全体的に増加傾向にあることを論じた。

同氏は、そういったM&Aグローバルトレンドの中で情報の取り扱い方については、複雑化の一途を辿り、M&Aのデュー・デリジェンスに関っている人間が増加傾向にあると強調した。

その上で昨今起きている問題として、「法規制コンプライアンスに関連する情報開示の増加や、買い手、売り手間の評価ギャップからデュー・デリジェンスが長期化、「モノ言う株主」や取締役会から、大量取引による値引きといったディールの正当性を求められ、プレッシャーがかかったり、手抜きをすることによるコストの増大といったことがあげられる」と説明した。

イントラリンクスのソリューションがもたらす価値

そういったM&A業務におけるデュー・デリジェンスなどのやり取りが増えている中、ソリューションを提供する上で気をつけている事について同氏は言及。「この20、30年は外からの防御に力を尽くしていたが、本当に大事なのは内から外に出て行く情報である」と強調。社内ポリシーを知らずに、外部に出してはいけない添付ファイルを添付し、Eメールで送ってしまったというような例を紹介し、「どの情報をシェアするか、どの情報をアンシェアするか」といった自由と強制のバランスをとることの重要性を語り、「大事なのは共有をあえてしないといったような選択肢が求められている」、と顧客からのニーズを紹介しつつ、それら懸念点は同社が現在ベータ版で提供中の「IntraLinks VIA」で払拭できると強調した。

CIOと従業員のニーズをマッチングさせるには

「IntraLinks VIA」は、たとえば共有したい情報に時限装置を設け、ある一定の期間が過ぎたり、契約が終了した際に属性を変更し、その情報にアクセスできなくなるような仕組みを備えている。その他の機能として、監査やコンプライアンスによるおリスク管理やソーシャルメディアとのコラボレーション、既存システムを活用した連携といったことにも対応する機能を有していると説明した。

同社では現在「IntraLinks VIA」のベータ版を提供しており、4月下旬に出荷を予定している。