SAPジャパンは20日、「SAP Business Suite」ユーザーへの新しい選択肢として、「SAP Business Suite powered by SAP HANA」を提供すると発表した。5月末より一般提供の開始を予定している。

SAPジャパン 代表取締役社長 安斎富太郎氏

安斎氏は発表会で登壇し、「30年以上前はメモリの制約があり、やりたいことができなかったが、今回のSAP HANAがその制約から解放してくれる」とHANAの一番のウリを強調した。

その上で安斎氏は、「SAP世の中に存在する全てのデータベースを今後サポートしていく」と意気込みを語り、「今までの資産を活かしながら、自分のビジネスにどういったイノベーションを起こせるかが重要である」とSAP Business Suiteの可能性について述べた。

安斎氏が過去に登壇した際の内容については過去の記事を参照してほしい。

発表会のスライドショー

SAPジャパン リアルタイムコンピューティング事業本部長 馬場渉氏

次に、SAPジャパン リアルタイムコンピューティング事業本部長 馬場渉氏が登壇した。

馬場氏は「従来のERPでネックになっていたディスク中心のコンピューティング環境が主要なボトルネックになっている」と現状の問題を指摘した上で、「短時間処理といった従来のバケツリレー方式から変化させることが大事である」と強調した。

馬場氏は、データベースが変わるメリットについて言及し、「現在利用しているSAP Business SuiteをSAP HANAに合わせて再設計した」と述べ、「従来はプッシュダウンしてデータベースで処理してしまうとデータベースの処理がボトルネックになるため、アプリケーションのレイヤーで作業してしまおう、という考えだった。それらを変えて、データベースで処理してしまおうという考え方に進化することでメリットを享受できる」と強調した。

従来のやり方とHANAを導入した時の違いについて

また馬場氏はシステムの運用についても言及し、「技術運用マニュアル(TOM)の提供により従来よりも日々の運用が楽になる手段が記載されている」とし、ソーシャルメディアでのHANAに対する期待の大きさなどを紹介した。

SAP HANAは従来のERPを利用しているユーザであれば、エンハンスメントパッケージ6.0を入れることができれば、利用が可能であるとしている。ただし、移行に関してはユーザ自身が行うこともできるが、SAPのアドバイザにお願いすることを推奨しているとしている。

料金はアプリケーションを使うためのランタイム契約のような料金体系を踏襲する、としている。

ユーザ向けのHANAのお披露目の場として、3月7日に東京フォーラムでイベントを予定しているとのこと。詳細はSAPのホームページを参照してほしい。

発表会のスライドショー