SAS Institute Japanは2月19日、ビジュアル・データ探索ソフトウェア「SAS Visual Analytics」(以下、SAS VA)の最新版を発表した。同日より提供が開始されている。
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SAS Institute Japan 代表取締役社長 兼 北アジア地域統括責任者 吉田仁志氏 |
SAS VAは、データの分析やそれに基づく動向予測をビジュアルなUIで行えるソフトウェア。インメモリで動作するため、分析を高速に行えるうえ、幅広いハードウェアに対応するといった特徴がある。
また、SASが提供する他製品に比べて視覚表現が豊富で、「専門家でなくてもデータの関連性を発見しやすい」(SAS Institute Japan 代表取締役社長 兼 北アジア地域統括責任者 吉田仁志氏)というのも大きな特徴の1つ。具体的には、自動チャート作成機能、ポップアップでのヘルプガイダンス表示機能などを搭載しており、業務担当者でも使いこなせるよう工夫されている。
昨年7月に国内提供が開始された同製品だが、「半年ごとにバージョンアップを重ねる方針で開発」(SAS Institute Japan ビジネス開発本部長 須部恒氏)されており、今回のリリースですでに2度目のアップデートを迎える。新版では時系列予測機能が追加されるなど大きな機能強化が行われており、「例えば、過去の売上データから翌年度の売上予測値を出すこともできるようになっている」(須部氏)ほか、従来からサポートするブレードサーバに加えてラックマウント型のシングルサーバーにも対応し、「中小規模のシステムでも利用可能になった」(須部氏)という。
SASは、今回の新版リリースに併せて、富士通、HP、NECの3社とのアライアンスを強化したことも発表。各社が提供するサーバでの動作確認を済ませていることを強調したうえで、それぞれがサポートサービスやコンサルティングサービスなどの提供を開始していることも説明された。
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富士通 統合商品戦略本部 ビジネスアプリケーション推進統括部 シニアディレクター 河合美香氏 |
日本HP エンタープライズサービス事業統括 インフォメーションマネジメント・アナリティクス本部 本部長 羽田宏氏 |
日本電気 プラットフォームマーケティング戦略本部 本部長 秋本富士夫氏 |
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SAS Institute Japan ビジネス開発本部長 須部恒氏 |
そのほか、発表会では、吉田氏が2013年のビジネス戦略についても説明。「アナリティクスを使って日本を元気にしたい」と語り、「一部の企業はこれ以上経営努力ができないという限界点に近づいている。そうした状況を変えるにはゲームチェンジングが必要。その手立てとしてアナリティクスを使っていただければ」と続けたうえで、ビジネス優先事項として以下の5点を挙げた。
- 顧客をBI(Business Intelligence)からBA(Business Analytics)にシフトさせるためにSAS Visual Analyticsを推進
- SAS High-Performance Analyticsの業種・業務展開
- アナリティクス・コンサルティングの拡充
- データ・サイエンティスト育成のため大学と連携
- パートナーとの協業の強化
これらのうち、1に関しては、「従来のBIは現状が見るようになるツールだったが、それだけでは状況は変わらない。見るから知る、さらに知るからアクションに変えていかないといけない」と説明。「車で例えるならBIはバックミラー。アナリティクスによって企業をフロントが見える席に着かせたい」と語り、SAS Visual Analyticsでそれを後押ししていく意向を示した。
また、2に関しては、インメモリ技術を駆使して、業務・業種別ソリューションを高速化していくことを説明。とりわけ金融市場および顧客分析の領域でこれを推進していくことを強調した。
そのほか、SAS Institute Japanで100名規模のアナリティクス・コンサルタントを用意する計画や、中国や韓国で進んでいる、大学における統計学の普及にも努めていくことを説明した。