資生堂は1月19日、20~30代の日本人女性を対象にまつ毛についての詳細な研究を実施したところ、「まつ毛は成長スピードが速いほど長い」ということを新たに解明し、併せて、まつ毛の成長速度を高めて長くする成分の研究を進め、「ナツメ果実エキス」にその効果が高いことを発見したと発表した。

なおこの研究成果については、2013年6月28日に開催される日本抗加齢医学会総会で発表する予定としている。

目もとは顔全体の印象に大きく影響するパーツだ。同社の調査では、女性がなりたいまつ毛の仕上がりとして、「上向きカールのまつ毛」や「長いまつ毛」が上位となっている(画像1)。こうした願望の表れとして、若い女性を中心に「つけまつ毛」の使用者は増加しており、2010年度のつけまつ毛市場は2009年度の約1.5倍に急伸している(販売金額ベース、画像2)。

画像1。なりたい「まつ毛」の仕上がりを現したグラフ。「長いまつ毛」は、「上向きカールのまつ毛」につぐ僅差の2位

画像2。つけまつ毛の市場規模。2010年度は2009年度の1.5倍と大きく伸びている

資生堂はこれまで、まつ毛が生え変わる「ヘアサイクル(毛周期)」や組織学的な特徴について研究を進めてきており、大きく以下の3点を明らかにしてきている(画像3)。

1つ目は、まつ毛の「ヘアサイクル」が4カ月と、頭髪「ヘアサイクル」の3~6年に比べて非常に短いこと、2つ目は、まつ毛が伸びている期間(成長期)が約40日とヘアサイクルの3分の1しかないこと、3つ目は、成長スピード(成長速度)が遅いことだ。加えて、同じヒトのまつ毛の中でも、短いものと長いものがあることもわかっていた。

画像3。ヘアサイクルとその特性。まつ毛の特徴は、毛が生え変わる毛周期と成長期が短く、成長スピードは頭髪の半分以下

以上の研究結果を踏まえ、今回、まつ毛の成長速度と長さの関係について着目し、20~30代の日本人女性18人を対象に250本以上のまつ毛について詳細な研究が進めたところ、長いまつ毛ほど、成長スピード(成長速度)が速いという関係が明らかになったのである(画像4)。

画像4。まつ毛の長さと成長速度。今回、「長いまつ毛ほど成長スピードが速い」という関係が解明された

この新たな知見に基づき、「短い成長期の成長速度を高めることによって、まつ毛を長くする」対応成分の研究が進められ、200種以上の植物抽出エキスについて毛の細胞の増殖を活性化する作用が調べられたところ、ナツメ果実エキスにその効果が高いことが発見された(画像5)。なおナツメ果実エキスとは、「ナツメ Zizyphus jujuba」またはその近縁植物の果実から得られるエキスのことで、タイソウ(大棗)エキスとも呼ばれる。

さらに、ナツメ果実エキス配合(「あり」と「なし」)の試作品を4カ月間連続して使用する試験を行い、ナツメ果実エキスがまつ毛の成長速度を高めることを実証した(画像6)。

画像5。干したナツメの果実(タイソウ)。タイソウは漢方薬として利用され、鎮静作用、抗アレルギー作用、抗ストレス作用などが知られている

画像6。ナツメ果実エキスのまつ毛の成長速度促進効果