米ジュニパーネットワークス(以下 ジュニパー)は1月17日、年次グローバル・パートナー・コンファレンスにおいて、企業やサービスプロバイダーが従来のネットワーク・インフラストラクチャからSDN(Software Defined Network)に移行するための包括的なビジョンを発表、SDN市場をリードするための戦略の概要を発表した。
ジュニパーのSDN戦略は、新サービスの設計と提供に必要な期間の短縮、ネットワーク運用コストの軽減、そして導入のための明確な道筋を提供する。
ジュニパーの考えるSDNへの移行に必要な6つの主要原則は「ネットワーキング・ソフトウェアの明確な区分」、「最適な集中化」、「クラウドの活用」、「プラットフォームの構築」、「プロトコルの標準化」、「SDNの主要原則を幅広く応用」。
また、2013年以降、SDNネットワークのメリットを享受するために必要なステップとして、次の4つのステップを提供する。
ステップ1 - 管理の集中化:すべてのネットワーキング機器を設定する単一のマスターを提供するため、ネットワーク・マネージメント、分析、および設定機能を集中化。これにより運用コストを削減すると共に、顧客がネットワークからビジネスの実情を把握することが可能になる。このステップは、ジュニパーネットワークスJunos Spaceアプリケーションにより実現できる。
ステップ2 - ネットワーキングおよびセキュリティ・サービスのハードウェアからの抽出:サービス仮想マシン(VM)の構築により、基盤となっているハードウェアからネットワーキングとセキュリティのサービスを抽出。これにより、業界標準のx86系ハードウェアを使い、ソリューションに対するニーズに基づいてネットワークとセキュリティのサービスを個別に拡張することが可能。この次世代プログラマブル・ネットワークは、2013年第1四半期に提供が予定されているJunosV App Engineにより実現できる。
ステップ3 - コントローラーの集中化:複数のネットワークおよびセキュリティ・サービスがネットワーク内のさまざまな機器と連携して接続することを可能にするため、集中化されたコントローラーを導入。これは「SDN Service Chaining」と呼ばれ、仮想的にサービスをネットワークトラフィックのフローの中に、ソフトウェアを使って挿入する。このService Chaining機能は、ネットワークとセキュリティ向けの別々の機器を使うことにより、今日の物理的世界において初歩的な形で実現される。このステップにより、新しいネットワークとセキュリティ・サービスの設計、テスト、および提供にかかる時間、コスト、ならびにリスクが大幅に削減される。このステップにより、新しいネットワークとセキュリティ・サービスの設計、テスト、および提供にかかる時間、コスト、ならびにリスクが大幅に削減される。ジュニパーでは、Contrail Systems社から買収したSDNコントローラー技術と、JunosV App Engineの進化を通じて、2014年中にSDN Service Chaining機能を提供する予定。
ステップ4 - ネットワークおよびセキュリティ・ハードウェアの最適化:ハイパフォーマンスを提供するため、ネットワークとセキュリティ用ハードウェアの利用状況を最適化する。上記のステップ1からステップ3までは新しいネットワークとセキュリティ機能を実現するが、ネットワークとセキュリティ用ハードウェアの最適化により、ソフトウェアのみの場合と比較した場合で、重要なネットワーキング機能のパフォーマンスを10倍もしくはそれ以上に向上させる。最適化されたハードウェアとSDN Service Chainingを組み合わせることにより、最高のネットワークが実現する。 MXシリーズとSRXシリーズ製品は、今後のソフトウェアベースのService Chainingアーキテクチャを支えるための進化を続ける。
さらに同社は、顧客がソフトウェアの価値を長期にわたって実現することのできる、ソフトウェアの新しいライセンスおよびメンテナンス向けモデルである「Juniper Software Advantage」も発表。これは、企業向けソフトウェアライセンスモデルを基盤とし、ジュニパーの機器と業界標準のx86サーバとの間でソフトウェアライセンスの移行を可能にすることにより、顧客による投資を長期にわたって保護する。
このプログラムでは顧客による実際の利用状況に応じた購入が可能になり、新たな水準の柔軟性とコスト削減を提供。それぞれのソフトウェア向けライセンス供与パッケージおよび新しいライセンスへの移行を2013年に発表する。