部下を管理し、業績を上げることは上司の重要な任務だ。よい上司になるにはさまざまなアプローチがあるが、Wall Street Journalの記事「2013年、どうやって良い上司になる?(原題 : How to Be a Better Boss in 2013)」ではいくつかの提案を行っている。ヒントになりそうな部分をピックアップしたい。

難しいこと、新しい課題に挑戦する

新入社員や部署を異動したばかりの時は、学ぶ時間に多くを割いていたはずだ。だが、ひとたび仕事の流れを把握し、慣れてくると、スキルアップの曲線はフラットになる。このフラット段階をふたたび成長曲線に変えることができないか? そうすればあなたの業績はアップし、さらなる昇進につながるかもしれない。

記事ではアドバイスとして、「いまのスキルよりも少し高いハードルを設定すること」と記している。目標は少しだけ高く、そして明確である必要がある。合わせて、実現のためにやるべきことを書き出そう。営業なら、顧客の訪問回数を具体的に設定するなど、達成したかどうかの測定が明確なほどよい。

目標、行動リストの次は、フィードバックだ。先の例なら、訪問回数を増やしてみた結果を記録する。新しいことに挑戦するには、いまの居心地の良さを失う決意も必要だ。「成功するには、単に会社に遅くまでいればよいというわけではない」……耳が痛いというあなた、はじめるならいまだ。

部下を抱える上司という点では、部下に対してもこのようなシステマティックな自己開発精神をもってもらうよう、働きかけてはいかがだろう。

説得する力

管理職に必要な説得力、記事では具体的な戦略をいくつか伝授している。1つ目は、"それが一般的である"という社会規範を持ち出す戦略。単に「オンラインサービスを利用して下さい」というより、「10人中9人がオンラインサービスを利用していますよ」というほうが、相手は耳を傾けるだろう。

2つ目は、損失の可能性を強調すること。あるITプロジェクトに対し、複数のベンダーが提案書を持ってきた。「自社の技術を使えば売上げを50万ドルアップできる」というよりも、「自社の技術を使わない場合の売上げ損失は50万ドル」と提案したベンダーの方が選択される可能性が高かったという調査結果もあるという。

3つ目は、顧客なり相手と共通のなにかを見つけておくこと。たとえば、同じ出身地、子どもの年齢が同じ、好きなミュージシャンが同じなどだ。会話が弾むきっかけになるし、印象が良くなることだろう。

部下がいやがることでもやってもらう

管理する側としての力量が問われるのがここだろう。記事では、技術者に顧客ヘルプデスクにかかってきた電話をとらせているという、ある旅行サイトの例を紹介している。

開発者は通常、プログラムを書くのが特技であって、接客は得意ではない、人と話すのは苦手という人もいる。この方針を決めた創業者によると、サイトを設計・開発する技術者こそ顧客の声を直接聞く必要があると判断してのことだそう。その結果、単なるバグだけではなく、顧客がどのように使っているのか、どのような機能を望んでいるのかを理解できる優秀な開発者が育つ。もちろん、企業にとってもプラスになる。

ものわかりのよい上司はたしかにかっこ良い。だが、いやがられる上司となる必要がある時を見極めたい。