日本HP エンタープライズグループ エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 常務執行役員 杉原博茂氏

日本HPは1月8日、同社のネットワーク事業に関する戦略発表会を開催。今後はSoftware-Defined Data Center(SDDC)が目指すべき方向性だとし、SDN(Software-Defined Network)対応製品を拡大していくとした。

日本HP エンタープライズグループ エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 常務執行役員 杉原博茂氏は、「今後はバーチャルとリアルを融合し、アプリケーションの実行環境としてのデータセンターをやっていく。SDDCは、お客様が必要なものをすべてアプリケーション定義されたものにより動かすものだ。これはネットワークだけでなく、サーバやストレージが揃って初めて可能になる。そのため、サーバとストレージの連動性が重要になる」と述べ、ネットワーク製品だけでなく、サーバやストレージ製品も提供しているHPだからこそSDDCが可能になるとした。

「Software-Defined Data Center(SDDC)」が目指すべき方向性

日本HP エンタープライズグループ エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー・ネットワーク製品統括本部 インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部 尾﨑亨氏

日本HP エンタープライズグループ エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 サーバー・ネットワーク製品統括本部 インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部 尾﨑亨氏は、現在のデータセンターの問題点について、「物理デバイスを接続するためのネットワークになっている」と指摘。

そして同社の考える理想的なSDDCは、物理ポートや設置場所等の制約にとらわれず、仮想化を活用した柔軟で俊敏性のあるシステム構築を実現するものとした。

HPが考える理想的なデータセンター(右)

そのため、同社では今後 SDNの構成要素であるインフラストラクチャー層、コントロール層、そしてアプリケーション層という3つの重要な階層に対して、包括的なSDNテクノロジーの提供を行うという。

SDNに対するHPの戦略

アプリケーション層に対しては「HP Virtual Cloud Network Application」と「HP Sentinel Security」の2つソフトウェアを2013年下半期に提供する予定だ。

HP Virtual Cloud Network Applicationは、OpenStackと連携し、クラウドサービスのネットワーク配備を自動化する製品。HP Sentinel Securityは、HPのSDNコントローラーを介してOpen Flow対応スイッチを利用することで、ネットワークアクセス制御および侵入防御セキュリティを自動化する。

2013年下半期に提供する製品

そして、コントロール層に対しては、「HP Virtual Application Network SDN Controller」を2013年下半期に提供する予定だ。この製品はインフラストラクチャー層の製品群を管理・制御するOpenFlowコントローラーで、物理ハードウェアを論理的な環境から抽象化し、インフラストラクチャー内のすべてのデバイスのネットワーク設定を自動化・一元表示する。また、このコントローラへのアプリケーションプログラムインタフェース(API)をサードパーティーアプリケーションの開発者向けに提供するという。

「HP Virtual Application Network SDN Controller」の実装イメージ

そして、インフラストラクチャー層に対しては、同社のネットワーク製品のOpenFlowと40Gへの対応を加速させるという。第1弾として1月8日には、「HP 12500スイッチ」シリーズのファームウェアの無償アップグレードを開始。このファームウェアでは、「Ethernet Virtual Interconnect(EVI)」と「Multitenant Context Device(MDC)」という2つの機能を提供する。

EVIは、複数のデータセンターのL3網を利用し簡便にL2接続する技術で、最大8拠点の相互接続と、4,000以上のVLANの処理が可能となっている。一方MDCは、1台の物理スイッチをASIC単位で最大4個の論理スイッチとして仮想化し、独立したマルチテナントを実現する。MDCとEVIを併用することで最大32テナントを実装可能だという。

MDCとEVI

日本HP エンタープライズグループエンタープライズインフラストラクチャー事業統括 HPネットワーク事業本部 事業本部長 多田直哉氏

そして、今後の同社のネットワーク事業の戦略について、日本HP エンタープライズグループエンタープライズインフラストラクチャー事業統括 HPネットワーク事業本部 事業本部長 多田直哉氏は、「HPは、ネットワーク市場のシェアで高いところを維持している。その要因は業界標準や先進技術を採用し、サーバやストレージとの親和性を確保している点と、グローバルでの購買力と業界唯一の製品保証体制だ。ただ、国内シェアは5%にすぎない。そのため日本の市場にはビジネスチャンスがある。今後はコアネットワークとエッジネットワークの2極化戦略で日本市場を攻略していきたい」と述べた。

HPのワールドワイドと国内のシェア

具体的には、コアについては、ネットワークインテグレーターと戦略的なアライアンスを行い、US本社との連携による製品開発・自営保守サービスを開始するほか、グローバルでの先進事例の訴求を推進。エッジについては、サーバ・ストレージパートナーのネットワークビジネス拡大し、ネットワークを組み合わせたパッケージソリューション化、TCOの訴求を行っていくという。

ネットワーク事業の2極化戦略

そして、多田氏は「3年以内に20%以上のシェアを獲得したい」と述べた。