産業技術総合研究所は沖縄県久米島西方の海域で、これまで知られていなかった海底火山とカルデラ内での海底熱水活動域を発見したと発表した。付近には同様なカルデラをもつ海底火山が複数存在しており、熱水活動により形成されたマンガン酸化物も採取された。海底資源として有効な海底熱水鉱床が存在している可能性もあることから、引き続き海域の調査を進めるという。
同研究所地質情報研究部門の池原研・副研究部門長らは今年8月20日から9月13日まで、海洋調査船「第七開洋丸」(499トン)を使い、沖縄県久米島や鹿児島県沖永良部島周辺海域の海底調査を行った。魚群探知機や音響測深機などによる観測の結果、久米島西方海域で、直径数キロメートルのカルデラ地形をもつ海底火山を複数発見した。その一つのカルデラでは、活発な火山活動を示す、海底噴出口から立ち昇る熱水のプルームや海水の濁りなどを確認し、噴出口の構造物の破片とみられる硫化水素臭のする試料も多数採取した。
海底火山に伴う熱水活動では海底熱水鉱床が形成される可能性があることから、同研究所ではさらに、海底地形の解析や岩石・鉱物などの化学分析など進め、熱水活動域の把握や海底熱水鉱床の存在の可能性について調査・研究する。
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