アドビ システムズが12月4日より提供を開始したゲーム開発者・パブリッシャー向け開発ツール群「Game Developer Tools」。このツール群について、記者向け説明会が行われた。

アドビ システムズ マーケティング本部の西山正一氏は、「Game Developer Tools」投入の理由として、昨今のゲーム業界において、開発にFlashを活用するトレンドがあるからだと言及した。

ゲーム制作にFlashを使用する最大のメリットは、単一のコードでさまざまなデバイスにリーチできる点。Flashで採用されている言語「ActionScript(アクションスクリプト)」を使うことにより、デスクトップPC向けには「Flash Player」を、モバイル向けには「Adobe AIR」を経由して配信を行うことができるため、一度に多数のデバイスに対してリーチすることが可能だという。

Flashには、単一のコードで、PCからモバイルまで多くのデバイスを使うユーザーにリーチできる強みがあるという

同ツール群の発表に際して目新しかったのは、ツール群のなかでも新たにリリースされた「Adobe Scout」、「Adobe Gaming SDK」、「Adobe Flash C++ Compiler」が、「Adobe Creative Cloud」の無償メンバーにも解放されている点だ。有料会員でなくても新ツールに触れられることについて、説明会の中でも強調して紹介されていた。

「Game Developer Tools」の一覧。「Adobe Scout」のみ期間限定公開となっているが、新ツールを無償メンバーに対して公開している

説明会の中では、ゲーム開発エヴァンジェリストのアンディ ホール氏による各ツールのデモンストレーションが行われた。同氏は、ゲーム開発において非常に重要なのは「ユーザー数の増加」であると発言。その上で、ファミコン向けゲームなども含め、過去に開発した"資産"をブラウザ・モバイル向けに配信可能とする「Adobe Flash C++ Compiler」は頼もしいツールだとコメントした。

また、「今回の発表の中でも主役」だとして紹介したツール「Adobe Scout」については、実際のブラウザゲームを例に挙げてリアルタイムでの解析を披露。これまで、Flashベースのゲームの動作が遅くなっていた場合、ブラウザ上では多数の要素が動いているため、何が原因で遅延が起こっているのか分かりにくかったという。その点、「Adobe Scout」はリアルタイムで要素別のデータを分析することができるため、効率的にチューニングを行うことができるようになると解説していた。

「Adobe Scout」では、要素別に色が分けられた棒グラフがリアルタイムで表示される

同ツール群について、前述したように「Adobe Creative Cloud」の無償メンバーにも公開されている。アドビ システムズが満を持して投入したゲーム用のツール群となっているため、ゲーム開発に興味・関心のある人はぜひ一度触れてみてほしい。