花王は11月22日、炭酸入浴の筋肉に及ぼす影響を調べた結果、炭酸入浴とストレッチングの継続は、同様のさら湯入浴よりもからだの柔軟性(伸びやすさ)を促進することを確認したと発表した。
同成果は同社ヒューマンヘルスケア研究センター・パーソナルヘルスケア研究所と、日本赤十字北海道看護大学 山本憲志 准教授らによるもの。詳細は「第51回 日本生気象学会」において発表された。
脚の筋肉の柔軟性は加齢や運動不足などにより、低下することが知られているほか、脚の筋肉の柔軟性の低下は歩くといった日常生活に支障をきたしたり、腰痛などの不調に結びつく可能性も考えられるようになっている。 今回の研究では、成人男性12名(炭酸入浴7名、さら湯入浴5名)を対象に、1回の入浴(40℃、10分間)および5週間の毎日の入浴とストレッチング(前屈運動)を実施してもらい、筋肉の柔軟性を測定し、比較などを行った(試験浴水としては、さら湯は水道水、炭酸が入った湯は浴水中炭酸ガス濃度約140ppmのものをそれぞれ使用)。
毎日の入浴開始前には実験室にてレジスタンストレーニング(カーフレイズ上昇4秒および下降4秒×100回)を行ない、2週にわたり毎日入浴した際、5週にわたり毎日入浴した際に、トレーニング前後および入浴後(ストレッチングも行なった後)に、筋肉機能(筋硬度、学術的にも一般な方法である足関節可動域)の測定を実施した。
炭酸入浴による筋肉の柔軟性に及ぼす影響を筋硬度の測定により検証したところ、レジスタンストレーニングにより硬くなった下腿三頭筋(ふくらはぎ)に及ぼす入浴(炭酸入浴、さら湯入浴)の影響は、両群とも浴後に筋硬度は有意に低下したが、炭酸入浴の方が、レジスタンストレーニングにより硬くなった筋肉をやわらかくする効果を有することが明らかになり、炭酸入浴は筋肉疲労に対する緩和効果が高いことが示唆されたという。
さらに、毎日の炭酸入浴と30秒ストレッチング(前屈10秒×3回)による、筋肉の柔軟性(筋硬度と学術的にも一般的な方法である関節可動域で測定)に及ぼす影響を検証したところ、炭酸入浴と30秒ストレッチングにより、運動後の硬くなった筋肉の硬度は有意に低下することが示された。
また、炭酸入浴は、関節可動域の増加量の有意な増加、すなわち足首がより曲げやすくなる現象が認められたという。
これらの結果から研究グループは、炭酸入浴と30秒ストレッチングの継続により、脚の筋肉や足首がやわらかくなるといった変化が確認され、筋肉の疲労回復を早める効果や脚の筋肉の柔軟性が関係する腰痛などになりにくくなるなどの効果にもつながることが考えられるという結論を得たとしている。
なお、今後は、筋肉が硬くなるメカニズム、炭酸入浴とストレッチングとの関係やからだの柔軟性に及ぼす作用などについて、より詳細に研究していく予定だとするほか、今回の知見をもとに、からだの不調を予防・緩和するために炭酸入浴などの健康なからだへの取り組みを提案していきたいとしている。