不安定な景気動向が長く続いており、やむなく解雇に踏み切る企業もあることだろう。あなたが解雇を伝える側になった場合、どのように告げるのが一番よいのか、Wall Street Journalの記事「解雇を告げる最善の方法(原題:The Best Ways to Fire Somebody)」から紹介したい。相手にとってもあなたにとってもつらい状況を最悪の状況にしないために、なにかできることがあるかもしれない。原文は解雇を前提としたものだが、部下に異動を告げる際にも参考になることだろう。

よく言われているアドバイスとして、(解雇という決断に至った)理由を冷静に告げる、相手のプライドや威厳を配慮してみんなの前ではなく個別に告げる、などがある。記事ではこれに付け加える形で、以下を挙げている。

誰が通告すべきか

解雇を告げるのは、直接の上司がすべきだ。そうでなければ、悪い知らせを受けた人は自分を知る上司がこの決断にどのような態度をとったのかを疑ってしまう。「解雇の実体について懸念が浮かび上がることになる」と雇用や労働分野に明るい弁護士Maurice Fitzgerald氏は記事でコメントしている。だが、直接の上司が一人で行うのではなく、人事担当者などの立ち会いがある方が良いとも言う。これは、双方が感情的になって口論になるなどの事態を防ぐことができるからだ。

詳細を書いた文書を用意

解雇を告げられたショック状態から、その後の会話がわからなくなることは多い。給与計算など、解雇に関する手続きや詳細は口で伝えるよりも、書面にして渡した方が親切だ。「言った」「言わない」「知らなかった」など、その後もめ事がおこる可能性も回避できる。

手短に、具体的に

解雇は「告げる」にとどめ、談話にならないように。15分、長くて20分程度が良いとのことだ。だが、短時間でも告げるべきことを具体的に告げよう。年齢差別、男女差別と思われないように、その人が解雇対象となった理由はちゃんと伝えるべきだという。目標に達しなかったのが理由ならそれを正直に告げるべきだし、注意しても改善しなかった行動があればそれを伝える。その時はつらくても、きっと本人の将来のためになるだろう。

謝罪しない

「申し訳ない」「すまない」などの謝罪の言葉は避けるように。上司が謝罪するのを聞くと、解雇される人はこの決断が公正なものかどうかを疑ってしまうかもしれない。

最適なのは金曜日

いつ告げるかについては、金曜日、または月曜日というのが記事の筆者のアドバイスだ。翌日が休みの金曜日なら、別れがそれほど悲劇的にならないだろう。月曜日を挙げる理由は、解雇を告げられた人がすぐに再就職に向けた活動を始められるからとのことだ。重要なのはぐずぐずしないこと。決断したらすぐに通知した方がよい。