モンスター顧客という言葉があるが、どのような業種にあっても扱いにくい顧客というのはいるだろう。新規顧客の獲得が難しい時代にあって、既存顧客の維持がますます大切になっている。難しい顧客に対処するためになにかいい方法はないものか ― Open Forumの記事「難しい顧客と付き合うための9つの法則(原題:9 Rules for Serving the Difficult Customer)」からいくつか紹介しよう。
1. 兆候を見逃さない
顧客が不満を感じているとわかれば対処方法を練ることができる。初対面や表面上は怒っていないし難しくないと思える顧客でも、「遅い」「問題」「バグ」「支払い」などの言葉が出てきたら注意したい。このような状況では、十分に顧客の言うことに耳を傾けよう。語調や抑揚も重要なサインとなる。難しくなりそうだと感じた場合は、タスクの優先順位を上げたい。
2. 対面重視
顧客は対面よりも、画面に向かった方が怒りをぶつけやすい。それが、読むのもつらいような苦情メッセージにつながるわけだ。怒った顧客とは対面で対処すべきだ。Webサイトなどで、自分たちと直接コンタクトをとる方法を明確に顧客に知らせておくとよいだろう。対応する際も形式張った対応ではなく、もっと相手に配慮してみてはどうだろう。「○○様」と自分の名前を呼ばれると、顧客の気持ちはぐっと和らぐはずだ。
3.メールよりも声
対面が望ましいが、それが無理なら電話など声で直接相手のトーンを聞き取れる手段をとりたい。一方的なメールとは異なり双方向の電話なら、顧客は自分の言いたいことが言えるというだけでなく、相手が聞いてくれているという実感も得やすい。聞いてもらったという実感がテンションや怒りを緩和するのだ。
4.顧客が望んでいるものを与える
怒っている顧客をなんとか静める最善の方法は、その顧客が望んでいるものを供給すること。払い戻しを望んでいるのなら、払い戻しできるような方法を探ろう。謝罪を求めているのなら、きちんとした態度で謝罪する。あなたが間違っていた・自分の方が正しかったことを認めてほしいなら、自分が間違っていた、あなたが正しかったと認める。ソーシャルネットワーク時代、不満を持つ顧客のたった一言が企業や企業の信頼にダメージを与えることがある。あらためて言うまでもないが、一度傷ついたブランドイメージの修繕は難しい。
5. 一に誠意、二に誠意
誠実さは大切だ。もしあなたのミスで顧客に迷惑をかけている場合は、ごまかさずに事情をちゃんと説明して謝罪し、至急解決策を探ると約束しよう。どんな顧客でも透明性は大切だと感じているし、謙虚さも重要だ。
顧客が怒っている・いないに関係なく気をつけたいこととして、全体を見渡す、迅速な対応なども挙がっている。
すばらしい顧客サービスはいつ何時も提供できるが、そのためには顧客を取り巻く環境や状況を見ていないとタイムリーに提供できない。顧客が必要と感じたときにすぐに支援できるようにするには、全体を見渡しておくこと。Webサイトに「連絡先」のリンクを貼る、ソーシャルメディアで展開している場合はモニタリングを行うといったことができる。
イソップ童話とはちがって、顧客サービスで勝利するのはカメではなくウサギだ ― 迅速な対応が顧客の心をつかむ。少しでも早く、自分のニーズを聞いてもらえると思ってもらうように心がけたい。迅速な対応を続けることで結びつきは強くなり、良好な関係につながるだろう。難しい顧客の場合は特に大切だ。
難しい顧客の多くは長い時間を待てないし、すぐに対応してほしいと思っているからだ。だからといって、速度のために品質が落ちるというのはいただけない。品質と速度の微妙なバランスを臨機応変に見分けるように。時間がかかる場合は、先に一言その旨を伝えておくという手もある。