Texas Instruments(TI)は、高性能かつ大容量メモリを搭載した多数ピンパッケージのデュアルコアマイコン「Concerto F28M36x」を発表した。

同製品は、リアルタイム制御と通信機能を必要とするアプリケーション向けにDSP「C28x」による高精度のリアルタイム制御、ARM Cortex-M3コアならびにオンチップのペリフェラルによる通信機能を1チップ化。電力変換、遠隔でのデータ共有、診断、モニタリングおよびシステム制御などの機能を搭載するモータ制御、再生可能エネルギーおよびスマートグリッドなどに向けた製品となっている。

特長として、150MHz動作のDSP「C28x」および、浮動小数点ユニットならびにViterbi複素演算ユニット(VCU)で構成されたリアルタイム制御サブシステムを備えている。また、エネルギー効率の要求が高い各種アプリケーションの制御および電力変換向けに、先端の制御ペリフェラル群を搭載したほか、125MHz動作のCortex-M3および、Ethernet、USB On-The-Go、2本のCANおよび複数のシリアル通信ポートなどのコネクティビティペリフェラル群で構成された堅牢な通信サブシステムにより、データ共有、診断およびモニタなどの機能を実現している。この他、高性能のパルス幅変調(PWM)ペリフェラル群により、スイッチング電源およびモータ制御システムで制御分解能を向上させている。加えて、プログラムおよびデータ格納のためのメモリとして、最大1.5MBのフラッシュおよび232KBのRAMが搭載されている。

また、開発に必要なソフトウェアは、すべて「controlSUITE」で提供される。同ソフトは直覚的に使用できるエコシステムで、アプリケーションライブラリ群、デモンストレーションおよびサンプルコードの他、同社のEclipseベースのIDE「Code Composer Studio v.5」で構成されている。さらに、決定論的なスケーラブルリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)「TI-RTOS」が、「Code Composer Studio」に完全統合されており、初期費用やロイヤリティなしで使用することが可能。同RTOSは、ARM Cortex-M3と「C28x」の両コアの間に、低いオーバーヘッドの通信メカニズムを提供し、コマンドおよび制御用データバッファを容易に使用することができると同社では説明している。

なお、パッケージは16mm角の289ピンnFBGA(0.8mmボールピッチ)。価格は1000個受注時で6.99ドルから。検証キット「TMDXDOCK28M36」は195ドル、またcontrolCARD「TMXCDCNF28M36」は145ドルで提供されている。