矢野経済研究所は10月9日、クレジットカードショッピング市場に関する調査結果を公開した。同調査は2012年6月~9月に国内の主要クレジットカード発行会社などを対象に実施したもの。クレジットカードショッピングの市場規模は、国内のクレジット会員が国内外にてクレジットカードを使用したショッピング取扱高ベースで算出されている。
発表内容によると、2011年度のクレジットカードショッピング市場規模は約39兆円で、前年度から6.5%拡大した。クレジットカードの利用領域が拡大したことに加え、カード会社各社によるクレジットカードの稼動率向上への取組みによって、市場の拡大傾向が続いている。クレジットカード各社はオンラインショッピングモールの開設や加盟店に対する新しい決済システムの提供など、利益確保に向けた動きを活発化させているという。
同社は今後も市場の拡大は続き、2014年度の市場規模は約49兆円に達すると予測している。
また、同社は注目すべき事柄として、決済システムのクラウド化の普及拡大やスマートフォンの決済端末化の推進、NFCの普及の可能性などを取り上げている。
同社によると、決済システムのクラウド化は広く普及しており、加盟店の決済環境は大きく変化しはじめているという。決済システムがクラウド化されることで、加盟店は電子マネーなどのさまざまな決済システムを安価で導入可能になり、決済の多様化に繋がる。将来的に、クラウド化された決済システムはクーポン付与やポイントサービスなどと結びつき、インターネットを利用して実店舗への集客を促すO2O(Online to Offline)の浸透に貢献すると見られている。
また、スマートフォンが普及したことにより、スマートフォンを決済端末として導入する事業者が増加しているという調査結果も出ている。特に高級ブランドショップやホテルなどにおいて、新しい販売スタイルを目的に導入するケースが目立つという。
同社は今後、スマートフォンをかざすだけでクーポンやポイントを取得可能にしたり、SNSを活用して顧客とコミュニケーションを強化したりするような新しいスタイルのサービスが広がると見ている。なお、スマートフォンの決済機能は、近距離無線通信の国際無線規格であるNFCが担う可能性が高く、これによってNFC搭載型スマートフォンによるクレジットカードの国内利用が拡大する可能性があるとしている。
なお、同調査の詳細レポート「2012年版 クレジットカード市場の実態と展望」は10万5000円で販売されている。