ウェブルートは10月3日、企業向けのクラウドセキュリティソリューション「Webroot SecureAnywhere Business - Endpoint Protection」の提供を開始した。ライセンス価格は契約数によって異なるが、1クライアントあたり年間2,250円(税別)から。

「Webroot SecureAnywhere Business - Endpoint Protection」の画面

この製品はマルウェア対策のためのエンドポイント向けソリューションで、最大の特徴は、定義ファイルやパターンファイルを用いない検知ロジックを採用し、クラウド上のサービスとして提供している点。PC上でアプリケーション実行時にファイルハッシュを作成。このハッシュをクラウド上のDBと照合し、安全かどうかを判断する。

クラウドベースの検知ロジック

オフラインの場合は、プログラムが怪しい行動をしていないかチェックし、黒と判断された場合は隔離。グレーと判断した場合は、実行し履歴を保存。オンライン時にクラウド上のデータと照合し、そこで黒と判断された場合は、システムをロールバックして元に戻すしくみだ。

Offline Mode

ウェブルート 製品・技術本部 本部長 村田達宣氏

また、製品・技術本部 本部長 村田達宣氏は、実用するうえでの優位性として、既存Anti Virus製品と競合しない点を挙げた。通常は他のソフトウェアをアンインストールしなければ、新しいソフトウェアをインストールできないことが多いが、同社の製品は他社の製品をアンインストールする前に設定できるので、一時も驚異にさらされることがない。またオフライン時にも保護を実装するため、モバイルなどオンラインとオフラインを切り替えるデバイスにも有効だという。

情報セキュリティの強化に伴い、IT管理者は大容量の定義ファイルを日々更新しなければならず、その負荷に伴いファイルのダウンロードが数日に1回に簡素化されるなど、当初の目的であるセキュリティ強化が実現されないケースもある。こうした課題に対し、同社では管理作業の負荷軽減へ独自のこだわりをもち、インストール使用ディスク容量は4MB以内、初期スキャンの使用メモリは12.30MB、初期スキャンの速度は156秒、インストールにかかる時間は6秒弱と、省力化を実現。この省力化により、リソースの限られたPOSシステムなどにおいても有効であるという。

ウェブルートの優位性

ウェブルート 代表取締役社長 駒林一彦氏

同社は2005年から国内ビジネスを展開。これまで、ヤマダ電器を中心にコンシューマ向けに製品を提供していた。Webroot SecureAnywhere Business - Endpoint Protectionは法人向けとして国内初となる製品となる。

代表取締役社長 駒林一彦氏は、ソリューションの優位性として「定義ファイル更新不要」を筆頭にあげ、その効果としてハードウェアを要しないことや業務時間短縮によるコスト削減を強調。他のAnti Virus製品については「ほとんどがパターンマッチング補完機能で、この技術は30年間根本的な進化をしていない。定義ファイルは肥大化しており、リソースを占有する。また、最新の定義ファイルがエンドポイントに届かないと役に立たないシステムだ。このような技術では、脅威を防ぐことができない」と述べた。

米Webroot CEO ディック・ウィリアムス氏

また、来日中の米Webroot CEO ディック・ウィリアムス氏は、「他の製品はエンドユーザーに、すばやく定義ファイルを提供し、迅速にスキャンする必要がある。このようなシステムは、ユーザーとってもはや重荷になっている。この分野においてはイノベーションが必要だ。そのため、我々はWebroot SecureAnywhwere Endpoint Protectionの提供を開始した」と語った。

ウィリアムス氏は、これまでの導入実績として、AIGや東芝などの法人をはじめコンシューマ向けに700万台を販売、シスコやマイクロソフトなど25,000社の自社セキュリティシステムに採用されていると説明。そして、「これは我々の製品がすぐれていることの証明だ」とした。

また、同社ではOEM提供している各社からも顧客のフィードバックレポートを受け取っており、これに基づき、50TB以上のマルウェアデータベースを構築、リアルライム評価を実現しているという。

同社では、この製品を従業員20~300人の企業を中心に営業活動を展開。また、POSシステムや仮想デスクトップ環境にも注力し、2013年6月までに800社の新規顧客獲得を目指す。

ターゲット