博報堂生活総合研究所は9月14日、小学4年生~中学2年生を対象にした「子ども調査」の結果を公開した。調査時期は2月16日~3月12日で、首都圏の子ども1200名に質問を行っている。また、同社は今回の調査結果を2007年調査、1997年調査の結果と比較することで、この15年間における日本の子どもたちの意識や行動の変化も分析している。
発表によると、子どもたちが家の中で一番多くの時間を過ごす場所を尋ねる質問では、「自分の部屋」の回答率がこの5年間で大幅に減少し、「居間」が大きく増加している。また、「ひとりでいる方が好き」という回答も減少し、「家族といっしょにいる方が好き」の回答率が上がっている。さらに「家族にいっていない秘密がある」「部屋に親が入ってくるのはいやだ」などの回答率も減少傾向が続き、「家族と一緒にいるとほっとする」と答える子どもが増えている。
家の中で一番いる場所 |
家の中でのすごし方 |
親・家族に対する意識 |
家族と友達の大切さを比較した調査では、「家族の方が大切」と答える子どもが増えている。「大切な話をはじめに話す相手」についても「親」を選ぶ子どもが増えており、いずれも「友達」との差が5年前より広がった。「友だちと家族のどちらとの時間をもっと増やしたいか」という質問でも、「家族」と答える子どもが増加している。
家族と友達大切さ比較 |
大切な話をどちらの方にはじめに話すか |
もっと増やしたい時間 |
コミュニケーションツールに関する項目を見てみると、1997年調査では13.2人、2007年調査では24.5人だった「メール友達の数」が、今回の調査では20.2人と減少している。一方で、SNSやアバターを利用する子どもは増えており、今後の参加意向も高まっている。これらの結果から、同社は子どもたちの関心が「リアルな関係を深めることからバーチャルな関係を広める方に移っている」と見ている。
メールのやり取りをする友人がいる |
SNS参加率 |
SNS参加意向率 |
過去の調査を振り返ると、1997年調査では、人間関係や社会変化に巧みに適応していく、大人顔負けの子どもたちの姿がうかがえる結果になっており、その10年後の2007年調査では、家で休息確保、学校で関係確保、興味関心の場で自我確保する「3点確保」を意図的にせざるを得ない子どもたちの状態が明らかになった。
同社は、この激変の5年間を過ごし、2011年の東日本大震災なども経験してきた子どもたちは「身の周りとの関係性を深めることで時代の荒波を乗り越えようとしている」と分析している。