マカフィーは、次世代エンドポイントセキュリティ製品「McAfee Deep Defender(マカフィー ディープ ディフェンダー、以下Deep Defender)」、および「McAfee ePO Deep Command(マカフィー ePO ディープ コマンド、以下ePO Deep Command)」について、日本における発売を発表した。発売日は2012年8月1日。
クラウド時代のセキュリティを担保する新製品を発売
「Deep Defender」は、既存のソリューションを超える脅威へのセキュリティ対策への需要に応えるべく、インテルとマカフィーが共同開発したもの。日本での発売に際して、2社は合同で発表会を行った。
マカフィー 代表取締役社長 ジャン・クロード・ブロイド氏は、次世代のエンドポイントセキュリティ、ならびに同社の置かれた状況を述べた。
近年、ニーズを伸ばしているクラウドサービスについて、最大のネックはセキュリティの問題であり、企業の最大の投資先であると言及し、その一方でセキュリティ製品市場は断片化していると指摘した。
また、ここ数年でのタブレットやスマートフォンといったモバイルデバイスの急激な増加と関係して、ビジネスシーンにおける個人端末の利用率が高まっていることを指摘。これまでのように、企業が社員の個人端末をブロックしてセキュリティを高める方法ではなく、個人端末をセキュアな形で使用させる方向がより発展していくとの見解を見せた。
こういった状況を受け、新しいチャネル経由でエンドユーザーに対する脅威が増えているという。個人端末のセキュリティの問題として、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)経由の攻撃が増えており、有害なアプリケーションなどによる個人情報の収集など、これまでにはなかった攻撃方法が現れているという
同氏はインテルによる同社の買収について肯定的に捉え、断片化した市場においても、顧客にマカフィーの未来を心配させる必要がないと指摘。また、各国のセキュリティ市場の状況について言及し、ヨーロッパやアジア諸国、中国、米国などの成熟市場は、ブラジル、ロシアといった新興市場に比べて成長が鈍化している面があるとした。
日本市場における展開
先述の諸国と比べ、日本のセキュリティ市場はまだ伸びしろがあるという。その理由としては、モバイルネットワークなど、グローバル基準から見ても最高のインフラを持ち、高い倫理観に裏打ちされたからこそのプライベートデータやIPの流出の水準の低さといった部分的な長所とは裏腹に、米国などと比べてセキュリティ技術への投資が遅れている面があるためだ。
そういった部分に対して、同社のセキュリティ基盤である「Global Threat Intelligence」によるリアルタイムでの脅威の発見によって、ネットワークならびにエンドポイント両方に対して、セキュリティを担保していきたいと締めくくった。
OSに依存しないセキュリティの推進
近年、標的型攻撃などで利用される「カーネルモードルートキット」は、マルウェアの存在を隠蔽してしまう「ルートキット」の中でも、より深いレベルでOSを改ざんするもの。OS上で動作するセキュリティソフトでは検出が困難であり、従来のルートキット検出ツールでは見つけられない。そういった脅威に対して、OSよりも深い階層にあるMcAfee DeepSAFE技術によって、定義ファイルの更新なしでリアルタイム検知するのが、このたび発売される「Deep Defender」だ。
同時発売される「ePO Deep Command」は、企業のセキュリティ管理者向けのソフト。定義ファイル更新には従来、エンドポイントの電源がオンになっていることが必須条件であったため、緊急の更新などには対応しにくく、業務中の更新による動作が重くなるというデメリットもあった。このソフトを使えば、管理者がリモートでエンドポイントPCを立ち上げ、定義ファイルの更新から特定のPCのウイルス除去など、柔軟な運用が可能となる。
両製品の価格と販売目標
マカフィー マーケティング本部 執行役員 本部長 斉藤治氏は、新製品の価格について、「Deep Defender」は1ライセンス1,340円~4,070円、「ePO Deep Command」は1ライセンスあたり860円~2,620円と発表した。なお、両製品ともに個別導入するものではなく、マカフィーのウイルス対策製品およびePOを含むスイート製品との併用が必須となる。
斉藤氏は、このたび発表した新製品を含めたエンドポイント向け対策ソフトについて、2012~14年にかけて全体として15%増を目指していくとした。OSに依存しないセキュリティを求めて、既存のマカフィーユーザーが新製品を追加導入したり、あるいは「Deep Defender」によるセキュリティを評価した企業が包括的にマカフィー製品を採用したりするといったケースを予想しているとのことだ。