EMCジャパン 代表取締役社長 山野修氏

EMCジャパンは6月8日、エンタープライズ・ストレージ・ファミリ「EMC Symmetrix VMAX」のラインアップを刷新し、4PBの最大容量に対応したハイエンドモデル「VMAX 40K」の販売を開始した。同製品の価格は個別見積り。

初めに、代表取締役社長の山野修氏が、5月に米国で開催された同社の年次イベント「EMC World」における発表をもとに、同社の製品戦略について説明を行った。

同イベントで、EMCのCEOを務めるジョー・トゥッチ氏が、今後のITトレンドについて「現在、クラウドコンピューティングはプライベートクラウドとパブリッククラウドのいずれかの形態で導入されているが、今後は両クラウドを合わせたハイブリッドクラウドが普及していく。加えて、これまでのインフラはアプリケーションを中心に構築されていたが、仮想化によってアプリケーションの依存性が低減し、今後はデータを中心に構築されていく」と話したことが披露された。

同イベントでは42の新製品が発表されたが、「VMAX 40K」と「VPLEX」を皮切りに、国内でも順次販売が開始される。「VMAX 40K」は4PBの最大容量に対応しているが、同氏は、「国内で4PBのストレージが必要な企業はあるのかと思われるかもしれないが、『2PBでは足りない』というお客様も出てきている」と、国内企業において大容量ストレージが求められている現状を明らかにした。

EMC新製品の国内における販売予定

EMCジャパン グローバル・サービス統括本部 テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューション統括部 統括部長 永長純氏

「EMC Symmetrix VMAX」シリーズの詳細については、グローバル・サービス統括本部 テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューション統括部 統括部長の永長純氏が説明を行った。

刷新された「VMAX」ファミリーは、「Symmetrix VMAX 10K(旧Symmetrix VMAXe)」、「Symmetrix VMAX 20K(旧Symmetrix VMAX)」と、新たに加わったハイエンドモデル「Symmetrix VMAX 40K」は構成される。同社は、VMAX 40Kが「競合製品と比べて、最大3倍のパフォーマンス、2倍以上の利用可能容量を提供する」としているが、同氏は同製品がさまざまな点で拡張されていると説明した。

「VMAX 40Kは、旧ファミリーのハイエンドモデルと比べて、グローバルメモリが2倍、帯域幅が2倍、容量が2倍になっている」

刷新された「VMAX」ファミリーのスペック

また、VMAX 40Kでは高密度も図られており、2.5インチのSAS ドライブおよびMLC(eMLC:エンタープライズマルチレベル セル)フラッシュ・ドライブを使用した構成もサポートするようになった。これにより、最大構成時で、ドライブ数が33%増えているのに対し、設置領域は33%減、総重量は35%減、消費電力27%減となっている。

VMAXのOSも刷新されており、「FTS(Federated Tiered Storage)の提供」「FAST VP for VMAXでIBM System z メインフレームとIBM i サーバーをサポート」「EMC RecoverPointがVMAXファミリー全体に対応」「Unisphere for VMAXの提供」などが実現されている。

VMAXの最新OS「Enginuity 5876」の主要機能

FTSとは、外部アレイを「FAST VP(Fully Automated Storage Tiering for Virtual Pools)」の容量プールとして利用することを可能にし、外部アレイ用データについても保全性を保証する。「Unisphere」はもともと同社のミッドレンジのストレージ製品「EMC VNX」向けの運用管理製品だが、今回、「VMAX」と仮想ストレージ「VPLEX」の運用管理も行えるようになった。

「EMC VMAX」シリーズ