富士通研究所は4月4日、サーバと空調システムを連携させてコンテナデータセンターの総消費電力を削減する省電力システム制御技術を開発したと発表した。

コンテナデータセンターの総消費電力の削減には、内蔵ファンを持たないサーバの採用が効果的とされているが、従来の空調制御ではコンテナ内の空調システムとサーバが独立して制御されているため、内蔵ファンを持たないサーバの効率的な冷却が困難だった。

同研究所は今回、サーバのデータを使ってコンテナ空調ファンを制御する省電力システム制御技術を開発した。CPUの動作温度が高くなるに従ってリーク電流の影響によりサーバの消費電力は増大し、一方でCPU温度を下げようとするとコンテナ空調ファンの電力が増加するところ、同技術はコンテナデータセンター全体の消費電力を最小とするCPU温度となるようにコンテナ空調ファンを制御する。

コンテナデータセンター全体の消費電力を最小にする制御では、局所的にCPU温度が上昇した場合、CPU性能が低下し始める動作温度に達する可能性があるため、CPU性能が低下し始める動作温度を超えないようにコンテナ空調ファンを制御する。これらにより、内蔵ファンを持たないサーバの採用を可能とし、コンテナデータセンター全体の省電力化を実現する。

左から「総消費電力を最小にする制御技術」、「CPU性能低下を抑止する制御技術」

試作したコンテナデータセンターでは、外気が平温時(10℃から35℃)はコンテナ空調ファンで外気吸気口から挿入された空気がラック内部へ送り込まれ、ラック内で暖められた空気が排気口から排出される。外気が高温時(35℃以上)は、気化式冷却装置により外気を平温(35℃以下)まで冷やした上でファンに送り込む。一方、外気が低温時(10℃以下)は、ラックから排出された暖気を、通気口(ダンパ)を通して吸気口に戻して、外気を平温(10℃以上)まで暖めた上でファンに送り込むよう動作する。

左から「試作コンテナデータセンター 」、「コンテナデータセンターの内部構造 」

同技術を適用したコンテナデータセンターで実験検証を行った結果、内蔵ファンを持ったサーバで構成された従来のコンテナデータセンターと比べ、最大約40%の消費電力の削減効果を実証した。

また、CPU負荷の急激な増加による温度上昇で、CPUの性能低下、あるいはサーバ停止などのCPUの保護機能が働く場合も、CPUの温度上昇に追従して速やかにファンの回転数を上げて冷却することができ、サービスレベルの維持と低消費電力動作を両立させることが可能となる。

電力削減効果