ICT総研は3月7日、次世代高速データ通信の電波状況実測調査の結果を発表した。同調査では、次世代高速データ通信対応の端末とノートPCを接続して電波状況を調べるという形式に統一して実施された。

2月24日に、2.5GHz帯を使ったソフトバンクモバイルの「SoftBank 4G」が開始され、NTTドコモの「Xi」、UQコミュニケーションズの「UQ WiMAX」と、大手通信事業者3社の次世代高速データ通信サービスが出揃った。同調査はこれを踏まえ、下り速度最大42Mbpsの「EMOBILE G4」を提供しているイー・アクセスも含め、データ通信の速度や動画視聴待機時間を東名阪26地点で実測し、電波状況の実態把握を行ったもの。また、同社で2011年5月に実施した電波実測調査(データ通信部分)の続編としても位置付けられている。

結果、2011年5月に実施した同様の調査と比べて全体的に通信速度は大きく向上、要因としては、サービス自体の理論上速度の向上や通信事業者のネットワーク品質強化への取り組みの成果が挙げられている。

通信事業者別では、サービス開始直後の「SoftBank 4G」の圧倒的な通信速度が目立ち、東名阪26地点の下り平均速度が昼8.55Mbps、夜5.29Mbpsと、昼は次点の「UQ WiMAX」の2.2倍、夜は次点の「Xi」の2.6倍の速度を記録した。他3社の平均が昼3.39Mbps、夜1.95Mbpsであり、これと比べると昼は2.5倍、夜は2.7倍の速度となる。

サービス開始直後だけに利用者数が少ないことも影響しているはずだが、同サービス対応端末の理論上の最大速度が下り76Mbpsと他サービスを大きく引き離しており、同社では「この理論値の差に準じた順当な速度差が生じている」としている。少なくとも東名阪ではサービス開始当初からエリアカバー率が高いことも、調査により実証された。  

次世代高速データ通信速度測定結果<下り> 昼(上)/夜(下) 資料:ICT総研

次世代高速データ通信速度測定結果<上り> 昼(上)/夜(下) 資料:ICT総研

地域別では、昼の通信速度は首都圏と名阪で大きく変わらないが、回線がより多く利用される夜の時間帯では、首都圏よりも名阪の速度が速い結果となった。名阪は回線混雑時間帯でも、首都圏に比べてネットワークに余裕があり、安定した通信環境と言える。

ICT総研では、「激化するモバイルデータ通信の速度競争は、2012年度により加速し、下り100Mbps前後の攻防が繰り広げられる見込み。若年層を中心に固定通信からモバイルデータ通信への乗り換えという動きも拡がりつつあるなど、モバイルデータ通信の需要は増すばかりだ。通信事業者には理論上の速度の追及だけでなく、遅延時間の改善や建物内も含めたエリアカバーなど、真にユーザーが求めているニーズに今後も応えてもらうことを期待する」と述べている。